カレントテラピー 35-11 サンプル

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22 Current Therapy 2017 Vol.35 No.111032て,この血中GLP - 1の上昇および一部これに基づく摂食量自体の減少,gut -derived nutrient -intakepolypeptide(GIP)分泌抑制に加え近年,腸内細菌叢への影響が注目されだしている.摂餌量を揃えてのボグリボースの白色脂肪量減少への効果を検討した報告11)では,腸内細菌での短鎖脂肪酸の合成亢進による,GLP - 1分泌亢進および脂肪組織への脂肪沈着抑制作用12)に加え,糞便中bacteroidetes (バクテロイデス門)減少,firmicutes(フィルミクテス門)増加という肥満例の腸内細菌叢の特徴をボグリボースが変化させ,胆汁酸受容体を介したシグナル伝達を亢進させる機序も想定されている.また最近,新規発症糖尿病例を対象にした台湾からの報告では,アカルボース使用で大腸癌の発症が27%抑制されることが示されている(図3)13)が,その機序にはインスリン抵抗状態や便の腸内通過時間へのα- GIの効果に加え,大腸の腫瘍細胞の増殖を抑制についてここにも酪酸増加の影響が考察されている.グリニド製剤はα- GI同様食後血糖制御に有用でありこれとの併用はより強い効果が期待される.Inoueはcrossover designによりこれを証明し,さらに負荷後60~90分時でのTG,RLP -C(JIMROⅡで測定)上昇抑制へのボグリボースの効果も指摘している14).この食後中性脂肪低下についてはアカルボース投与により用量依存性に作用が増強することが古くから示されているが15),Ogawaらは食後chylomicron,VLDLへの急性効果も報告している16).NakanoらはCaco2細胞へのアカルボース処理によりオレイン酸の吸収・ApoB48の分泌低下を報告しており,chylomicronの合成や分泌への影響を食後TG上昇抑制への機序として提唱している17).Ⅴ 使用上の配慮各食直前の内服が原則になることは服薬アドヒアランスの低下へつながり本薬剤群使用上,ずっと大きな0.060.050.040.030.020.010.00700 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,4006275906155776115676045585194734243763322862322036335966386016436086586226676356756596866820 100 200 300 400 500 600プラセボアカルボースプラセボ無作為化後経過日数アカルボースp=0.04(Log-rank test)p=0.03(Cox比例モデル)累積発症率図2アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬)の心血管イベント発症に及ぼす影響(初回のイベントのみ)〔Chiasson JL et al.:JAMA 290:486- 494 , 2003より引用〕00.20.40.60.81 アカルボース無使用アカルボース>0 to <90 cDDDアカルボース90 to 364 cDDDアカルボース≧365 cDDD0 2 4 6 8Log-Rank p<0.00110 Cumulative Incidence ofColorectal Cancer(%)Years of Follow-up図3 アカルボース使用量と大腸癌発症との関連cDDD:cumulative defined daily dose〔参考文献13)より引用〕