カレントテラピー 35-11 サンプル

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概要:
カレントテラピー 35-11 サンプル

Current Therapy 2017 Vol.35 No.11 131型糖尿病の治療がこう変わった1023糖質量(g)の指標)を基にして超速効型インスリンの必要量を計算する.糖質/インスリン比は300ルールや500ルールなどを利用して概算で求めることができるが2),どのルールが適切かは患者によって異なる.以下に300ルールの例を示す.糖質/インスリン比は300を1日総インスリン量で除することによって計算される.例)1日総インスリン量が30単位の場合“糖質/インスリン比” =300/30=10g/単位以上より,超速効型インスリン1単位で処理できる糖質量は10gとなる.食事に含まれる糖質量が80gの場合は,80/10=8,すなわち超速効型インスリンの必要量は8単位となる.糖質/インスリン比は時間帯によって異なることがある.特に早朝から午前中は糖質/インスリン比が低い(インスリンの効きが悪い)ことが多いので,インスリン量を決める際に注意する.KurodaらはCSIIの場合,朝は300ルール,昼と夕は400ルールが適切であると報告している3).なお,上記ルールで算出される糖質/インスリン比はあくまでも概算値である.実際には食前と食後3時間の血糖値が同程度となるようにインスリン量を繰り返し調整しながら,個別に適切な糖質/インスリン比を決めていく必要がある.筆者らは,糖質量の正確な把握が容易であるコンビニエンスストアのおにぎり(1個あたりの糖質量:40g)を試験食として用いている.2 インスリン効果値を利用した血糖補正インスリン効果値は,超速効型インスリン1単位でどの程度の血糖降下作用(是正効果)が得られるかを示す指標である.一般的に,1,800を1日総インスリン量で除することにより,その概算値が得られる(1,800ルール)4).インスリン効果値は主に食直前,食後3時間以降~次の食前までの食間ならびに夜間高血糖を超速効型インスリンで補正する際に利用されており,強化インスリン療法に欠かせない高血糖是正策である.以下に,その具体的な方法を示す.なお,食後3時間までは食後の血糖変動が大きく,また食直前に注射した超速効型インスリンの残存作用の影響を受けるため,インスリン効果値による高血糖の補正は理論通りにいかない.○インスリン効果値の概算法(1,800ルール)“インスリン効果値”=1,800/“1日総インスリン量”例)1日総インスリン量が30単位の場合インスリン効果値=1,800/30=60( 超速効型インスリン1単位で血糖を60mg/dL補正できる)○インスリン効果値による補正インスリン量の算出法“ 補正インスリン量”=(“血糖測定値”-“目標血糖値”)/“インスリン効果値”例) 現在の血糖値:220mg/dL,目標血糖値:100mg/dL,インスリン効果値:60の場合補正インスリン量 =(220-100)/60=2単位すなわち,超速効型インスリンを2単位皮下注することによって,血糖値を220mg/dLから100mg/dL程度にまで補正することができる.一般的に補正の効果判定は注射後3時間の時点で行う.なお,1,800ルー400mg/dLTime of Day3002001001807000 3 6 9 12 15 18 21 24超速効型13-8-9 持効型0-0-0-25検査で延食図7 延食により,基礎インスリンの評価が可能であった症例のCGM データ(27歳男性,21 歳時発症の急性発症1 型糖尿病,血清C ペプチド値0 . 1 ng/mL 未満,入院症例)検査のため昼食が延食となった際に,延食時間帯のグルコース濃度がある程度平坦で推移していることが確認された(矢印).