カレントテラピー 35-10 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.10 11在宅医療の現況919の実情に合わせて提供されていく必要がある.都道府県が医療計画を策定するなかで,在宅医療には,①退院支援,②日常の療養支援,③急変時の対応,④看取りに関する4つの機能を求め,それぞれについて整備目標を立てることにしている.在宅医療を提供している医療機関だけではなく,入院医療機関をはじめとしたさまざまな医療機関との連携も重要となってくる.1 医療計画における在宅医療1)退院支援近年,在宅療養を選択する者のなかで,人工呼吸器など何らかの医療処置を必要とする者が増えてきたことから,医療の継続性や退院に伴って新たに生じる心理的・社会的問題の予防や対応のために,入院初期から退院後の生活を見据えた退院支援が重要となる.例えば,入院医療機関に退院支援担当者を配置し,多職種による退院前カンファレンスにより,平均在院日数の減少や,患者・家族の生活の質(QOL)向上等の効果が期待される.実際に退院支援担当者を配置する病院は,2008年の2,450カ所(28%)から,2014年の3,592カ所(42%)へと増加している.入院医療機関と在宅医療に係る関係機関との円滑な連携により,切れ目のない継続的な医療体制を確保することで,患者の住み慣れた地域に配慮した在宅医療および介護,障害福祉サービスの調整を十分図ることが可能となる.そこで,医療計画では,退院支援を実施している診療所・病院数等を整備目標に掲げている.2)日常の療養支援在宅医療を受けた患者数は,2014 年には156,400人/日で,2011年の110,700人/日に比較し,41%増加している.訪問診療を提供している医療機関は,全診療所100,461カ所のうち,20,597カ所(20.5%),全病院8,493カ所のうち2,692 カ所(31.7%)である.また,在支病,在支診数は2014年3月現在,それぞれ1,060カ所,14,453カ所の届出があり,年々増加している.病院,診療所を対象とした調査では,在宅医療を実施するうえで特に大変なこととして,74%が24時間対応の困難さを挙げている.在宅医療の多くが診療所を中心とした小規模な組織体制で提供されており,24時間対応,急変時の対応および看取りを行うための連携体制の構築が求められている.今後,在宅医療の需要はさらに増加することが想定されており,医在宅患者訪問診療の年齢階級別の構成比(レセプト件/ 月,%)2008(H 20)2011(H 23)2014(H 26)計272,540 449,315 645,9920- 4 歳0(0.0%)38(0.0%)448(0.1%)5- 19 歳0(0.0%)1,085(0.2%)1,046(0.2%)20- 39 歳2,502(0.9%)3,499(0.8%)3,770(0.6%)40- 64 歳12,443(4.6%)23,074(5.1%)19,004(2.9%)65- 74 歳31,488(11.6%)35,384(7.9%)46,713(7.2%)75- 84 歳93,044(34.1%)152,390(33.9%)192,807(29.8%)85 歳以上133,063(48.8%)233,845(52.0%)382,204(59.2%)在宅患者訪問診療料,往診料の算定件数推移(レセプト件数/月)198,166224,903272,540349,698301,562449,315439,833544,012645,992135,781 133,35789,581 108,305 137,7010100,000200,000300,000400,000500,000600,000700,0002006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(H20) (H23) (H26)訪問診療往診図4 在宅医療を受ける患者の動向〔厚生労働省:社会医療診療行為別調査.より引用〕