カレントテラピー 35-10 サンプル

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8 Current Therapy 2017 Vol.35 No.10916Ⅰ 地域包括ケアシステムにおける在宅医療の位置づけわが国は,世界的に類を見ないスピードで高齢化が進んでおり,超高齢化社会に伴う介護離職問題,社会保障費の増大,生産人口の減少等のさまざまな社会問題に直面している.1950年時点で5%に満たなかった高齢化率(65歳以上人口割合)は,1985年には10.3%,2005年には20.2%と急速に上昇し,2016 年は27.3%となっている1).今後の将来推計でも,2060年まで上昇することが見込まれている.また,高齢人口増加に伴い,死亡数も上昇傾向にあり,2015年では死亡数は年間約129万人の死亡者数が,2040年前後をピークに年間約167万人に達すると見込まれている(図1).こうしたなかで,例え医療や介護が必要な状態となっても,できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し,その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していく,いわゆる「地域包括ケアシステム」の構築は,「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けての喫緊の課題である2).医療においては,高齢化の進展で慢性疾患が増加することで疾病構造が変化し,医療ニーズについては,病気と共存しながら,生活の質の維持・向上を図っていく必要性が高まっている.つまり,これまでの「治す」医療から,「支える」医療への転換の必要性が出てきている.さらに,個人の価値観や生き方に基づき,人生の最終段階をどのように過ごしていくかを考えることは非常に重要である.死亡場所別にみた死亡者数は,2015年では,病院962,597人(74.6%),診療所25,482人(2.0%),自宅163,973人(12.7%)と医療機関で亡くなる人の割合が高い1).一方,治る見込* 厚生労働省医政局地域医療計画課在宅医療推進室在宅医療の現況と展望─ 在宅医療の担い手を育成する地域包括ケアシステムにおける在宅医療桑木光太郎*・伯野春彦*わが国では高齢化が進むなか,団塊の世代が75 歳以上となる2025 年に向けて,地域包括ケアシステムの構築が喫緊の課題となっている.地域包括ケアシステムとは,地域の実情に応じて住み慣れた地域で人生の最終段階まで医療・介護・介護予防・住居等が包括的に確保されるシステムである.多くの国民が可能な限り自宅等の住み慣れたところで人生の最期まで過ごすことを希望しているが,実際には医療機関で亡くなる方が7 割を超えるなど,理想と現実の間に差がある.その差を解消するのに在宅医療は重要な要素と考えられる.在宅医療には,①退院支援,②日常の療養支援,③急変時の対応,④看取りの4 つの機能があり,介護と併せて地域包括ケアシステムの重要な構成要素のひとつである.本稿では,在宅医療の現状と課題,今後の方向性について概説する.