カレントテラピー 35-10 サンプル

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66 Current Therapy 2017 Vol.35 No.10974担う診療所の現状と課題」では,在宅医療を担う診療所のうち,小児の受入ができないと回答する診療所は42.1%と,がんをはじめとする他の疾患に比べても非常に高い.訪問診療を受ける患者は大幅に増加しているが,患者の大半は75歳以上の高齢者であり,小児患者が対象とされているとは言えない状況である9).訪問看護に関しては,厚生労働省保健局医療課の調査によると,訪問看護を受ける小児(0~9歳)の利用者数は増加しており,平成27年は,平成13年に比べ9.5倍になっている.小児を得意とする訪問看護ステーションが多いとは言えないが,小児を受け入れている訪問看護ステーションは約5割あり,受け入れているステーションのうち約7割は1ステーション当たりの小児利用者数が1~4人である.Ⅲ 小児在宅医療の特徴と相談支援診療報酬に関しては,2016年度改定で,在宅小児経管栄養法指導管理料や複数医療機関による算定が可能となり,2018年度改定で,在支診,在宅診専門診療所,機能強化型訪問看護ステーションに小児在宅医療に関する実績要件が盛り込まれた.診療報酬上,在宅医が小児在宅医療に取り組みやすい仕組みづくりもなされてきているが,重症患者の多い小児在宅患者を診ていただける医師を増やすためには,小児在宅患者の特性に適した診療報酬の見直しを進めていく必要がある.訪問看護に関しても,「厚生労働大臣が定める疾患等」,「厚生労働大臣が定める状態等」,「特別訪問看護指示期間内」などを活用すれば,頻回訪問看護,長時間訪問看護が可能ではあるが,小児を診ていただけるステーションや,訪問看護師を増やす取り組みが必要である.小児科医にとっても診ることのまれな疾患の多い小児在宅患者を,多くの在宅医や訪問看護師に支援していただくためには,医療者間の支援システム(図2)を構築することも重要である.相談支援に関しても,高齢者では,介護支援専門員(ケアマネジャー)が多職種連携の中心となることが多い.しかし,小児では医療保険で行うために障害のある人の全般的な相談支援を行う相談支援専門員がその役を担うことが求められている.医療依存度の高い小児在宅患者の相談支援には,年齢や発達に応じた長い一生に寄り添った支援が必要である.そのためには,福祉の知識だけでなく,地域の医療,教育,保育,就労,行政などに関する幅広い知識が必要なうえ,高齢者以上に多職種と連携(表)することが求められる10).しかし,退院時共同指導料2においても相談支援専門員の介入規定がないために,入院中から関わることが難しく,退院後にサービス等利用計画の作成を開始して初めて報酬が発生する.小児では,サー18,00016,00014,00012,00010,0008,0006,0004,0002,0000H179,4032641,4036554688441,3302,5021,9282,3372,7433,0699,9678,43810,41313,96810,70114,80313,48815,78816,47517,078H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H273,5003,0002,5002,0001,5001,0005000A B0~4歳5~9歳10~14歳15~19歳0~19歳合計図1 医療的ケア,在宅人工呼吸器を要する小児患者数の推移A:医療的ケアの必要な子どもの数(社会医療診療行為別調査のデータより)0~19歳の医療的ケア児数は,増加傾向にあり平成27年度は1 . 7 万人にまで増加している.B:在宅人工呼吸器を必要とする子どもの数在宅人工呼吸器を必要とする小児の数は10年で約12倍に急増している.