カレントテラピー 35-10 サンプル

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64 Current Therapy 2017 Vol.35 No.10972Ⅰ はじめにさまざまな病気をもっていても,地域のなかで,家族と暮らしていきたいと思うことは多くの人の共通の願いであろう.さらに,自分の人生,命を懸けても愛するわが子を守り育てたいと親が思うこともごく自然なことであろう.これまで,小児においては,生命にかかわる病気をもった子どもは,病院や施設にいることが当たり前で,地域で,家族と暮らす選択肢はなかった.しかし,医療の進歩と,人生に対する価値観の変化,医療を取り巻く環境の変化などにより,小児においても,在宅医療を受けながら家族と地域で暮らすことを選択することが可能になっている.本稿では,在宅医療を受けながら生活している子どもたちの背景,現状,課題,今後の小児在宅医療の方向性について述べる.Ⅱ 小児在宅医療の現状1 高齢化,少子化のなかで平成28年には,出生数が100万人を初めて下回り,合計特殊出生率は1.44で,少子化に歯止めがかからない.少子化のなかでも,出生体重2,500g未満の低出生体重児の割合は高く,救命率の改善も維持されている.第1子出生時の母親の平均年齢は,晩産化が進んでいる1),2).高齢な両親から出生する子どもが増えると,さまざまな染色体・遺伝子異常をもった子どもも増える3).これらの子どもたちの多くは,従来,低酸素性脳症や,周産期死亡症例として取り扱われていたが,出生前診断の進歩などにより,高度周産期セ* 国立研究開発法人国立成育医療研究センター総合診療部在宅診療科医長在宅医療の現況と展望─ 在宅医療の担い手を育成する小児在宅医療中村知夫*医療の進歩を背景として,生命の維持,日々の生活のために,医療的ケアを必要とする小児(医療的ケア児)が増加してきているが,これらの子どもが地域のなかで暮らしていることは,認識されていない.医療的ケア児は,医療的依存度が高いにもかかわらず,地域の医療や福祉のサービスを受けることができず,主治医のいる病院への頻回の受診や,献身的な保護者のケアのみに支えられているのが現状である.医療的ケア児のなかには,知能や運動の障害が軽度であるために,寝たきりの子どもたちを対象とした従来の福祉のサービスを利用できないことも多い.平成28 年6 月3 日公布・施行された障害者総合支援法改正法により,自治体は医療的ケア児に対し,保健,医療,福祉,その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備が義務づけられた.高齢者だけでなく,障害児(者)も含めた地域包括ケアの整備を行うことが求められている.