カレントテラピー 35-10 サンプル

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62 Current Therapy 2017 Vol.35 No.10970Ⅳ 在宅死の問題点在宅死のなかには前述のような在宅での看取りのほかにいわゆる自宅死亡も含まれているのが現状である.厚生労働省は昨夏に各自治体における在宅死の割合を発表したが,そのなかには多数の在宅看取りでない自宅死亡も含まれているようであり,地域性があるもののそれらは約半分で,検死の対象となっている.当院周辺地域での調査では,警察扱いとなった在宅死亡の死因としては心臓・脳・血管疾患などの急性死が2/3であるが1/3はがん,老衰,慢性疾患などであった.いわゆる異状死として取り扱われなくてもよかったケースである.また厚生労働省の在宅死割合の数字は一見,都市部のほうが在宅医療が啓蒙され在宅看取りが増えているようにも見えるが,地方では在宅医療が発展しているにもかかわらず自宅死亡が少ないのは,「病院で死ぬというステータス」がまだあるからではないかと考えられる.一方,都市部においては自宅死亡率が高い地域で検案数が多いことから考えると,孤独死が増えているために自宅死亡率が増えているという事実がある.当院周辺地域の調査では在宅死の約半数は警察扱いとなっており,その約2/3は独居の死亡,いわゆる孤独死・孤立死である.これらは独居世帯が多くなり,いわゆる看る人がいないことを示している.孤独死・孤立死については定義が明確でないため,その統計はさまざまでありここでの議論は避けるが,当方で周辺地域の過去5年間の独居で病死とされた方の死亡状況を調べたところ図3のごとくであり,いわゆる孤立無援の死亡だけというわけでなく,医療,介護などさまざまな手が入っていた事例が2/3であった.孤独死は何が問題であろうか.社会的コストの増大,人間の尊厳を傷つける,孤立生活による不健康・貧困…しかしながら生き方・死に方はそれぞれに意見があるためなかなか対策も困難なようである.行政は官民一体となり「協力員活用型」:近所でサポート,見守り支援や事業者との「協定締結型」:新聞,ガス,電気,水道,生協,乳製品,宅配などと協定して異変があったときの連絡,「ネットワーク構築型」:地域で支え合いの輪を広げていく支援,ほかに要援護者の台帳づくり,マップづくり,人感センサー,地域サロン,安否確認電話サービス等を行ってはいるが,もう一つ先の手立てを行っていれば防げたケースも多々あったのも事実である.Ⅴ おわりにこれらを踏まえ以下のような問題点を指摘する.18%25%22%35%慢性疾患(老衰,がん,他慢性疾患など)男女比3:1 年齢65歳以下30%(50歳以下10%)50%28%10%6%40%30%30%16% 67%13%急性疾患(心・脳血管 疾患など)不詳年金生活保護給与所得者預貯金その他不明6%住居状態持ち家賃貸マンションマンションアパート(団地含む)健康状態生活状態死亡原因加療中不明4%未加療(健康含む)過去に加療図3自宅病死死亡例の分析特徴(独居)過去5 年独居自宅死亡1 , 602 例の検討から.