カレントテラピー 35-10 サンプル

カレントテラピー 35-10 サンプル page 14/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 35-10 サンプル の電子ブックに掲載されている14ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 35-10 サンプル

Current Therapy 2017 Vol.35 No.10 39在宅医療の現況947ある.認知や啓発と連動して,在宅医療における臨床検査項目やその検査機器の適用に関する有用性や有効性について,研究によるevidenceを積み重ねていくことも課題である1),2).検査誘発医療費に関するテーマも重要である.在宅医療向けの検査機器の開発は依然として課題である.この議論においては,小型化,携帯化,簡易化,汎用化,高精度化はキーワードである.在宅で慢性疾患の定期検査を実施するような場合には医療機関と同等の精度が求められる(急性期での検査は診断精度よりも判断に資するレベルで足りるとの意見はあるが).現場からは,炎症の判断に資する検査の開発に対してのリクエストが多い1).ティッシュペーパーサイズの白血球分類の測定機器やスティック式のC 反応性蛋白・好中球判定検査が開発されつつある5).心不全や誤嚥性肺炎といった急性増悪する疾病に対応する検査指標の開発にもニーズがある.また,在宅医療での治療も進歩を遂げている.これに呼応した開発,すなわち治療適応の決定やモニタリングに寄与するような検査体系にもニーズはある.さらに,在宅ならではの臨床検査値の活用にも一考の余地がある.例えば,検査を自己測定した際に,その検査値が医師の指示範囲を連続して外れた場合には,医療機関に連絡するといったルールづくりが相当する.(地域)医療の発展に,情報通信技術(informationand communication technology:ICT)の導入はしばしば語られる1),2).在宅臨床検査,特にPOCTデータとICTシステムとを一体化し,検査結果(含時系列結果)の共有,さらには医療・介護情報とのリンケージを図っていくことは課題である.このなかで,検査結果のパニック値(治療関連副作用による場合もある)への早期対応もできるようになるかもしれない.人材の教育と整備も課題である1),2).在宅医療では,医科学,社会学,人類学のような学問を背景にした学際的アプローチが必要で,多職種連携が重視される.在宅医療を心得た,かつ臨床検査分野にも長けた人材の養成はこれからである.Ⅵ 広義の在宅臨床検査わが国では,over the counter(OTC)検査として,尿蛋白・糖検査,尿妊娠反応検査,排卵日予測検査,血圧計や体脂肪測定計による検査などが提供されている.さらに,宅配検診,郵送(郵便)検診,コンビニ検診,遠隔検診,オンサイト検診のような名称の検診(場合によっては健診)がすでに実施されている.睡眠時無呼吸用検査装置を提供して,機器とデータの返却をもって解説を受検者に届けるような検診も出現した.検査結果をもとに,電話やICTで解説を加えるコールサービスシステムを備える方式も登場した.分類(表2)にこそ含めてはいないが,これらも広義には在宅臨床検査として扱う範疇にある(laboratory medicine beyond hospitals/clinics:この医療機関外での実施という広義性においては災害現場における医療での適用も含まれる).検診や健診のために医療機関を受診する時間を節約できたり,性感染症の検査項目のように対面受診を避けたりできる面が大衆に受けている.海外の話ではあるが,飛行機でPOCT装置を遠隔地域に持ち込んで,住民健診をしている例もあると聞く.わが国での在宅医療の対象者の増加に鑑み,例えば,在宅介護に時間をとられ,しかし,健診をすべき事由のある介護者のような場合には,こうした在宅での検査の実施も考慮され得る.ただし,この方式においては自己採取による検体不良に伴うエラーをはじめとして検討すべき点があり,実施に際しては慎重であらねばならない.Ⅶ おわりにわが国の在宅医療における臨床検査について概観した.在宅臨床検査は,在宅医療に貢献する情報源のひとつとしての位置づけにあり,急性期対応と慢性期対応の臨床検査群ともに活用されている.同時に諸課題も擁している.在宅医療は国民の当事者的課題のひとつであり,在宅臨床検査(医)学は,時代に合わせた発展を求められている.