カレントテラピー 35-1 サンプル page 8/32
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カレントテラピー 35-1 サンプル
Current Therapy 2017 Vol.35 No.1 11糖尿病性腎症の疫学・経過・予後・診断と治療11(ADVANCE)trial10)のpost hoc analysisおよび当センターからの観察研究11)においても,腎症進展に伴い心血管死および心血管病の発症リスクが増加することが明らかとなっている.以上より,腎症の発症・進展抑制の目的は,末期腎不全への移行阻止および心血管死・心血管病の発症抑制であると考えられる.Ⅵ 糖尿病網膜症に対する腎症進展の影響高血糖に加え,高血圧,脂質異常症は糖尿病性腎症発症・進展の危険因子であるとともに,糖尿病網膜症の危険因子でもある.さらに,腎症のみならず網膜症の進展抑制に対してもレニン・アンジオテンシン系阻害薬の有用性が報告されている12)~14).図4に当センターにおける腎症および網膜症の合併頻度を示す.腎症の進展に伴い,網膜症の頻度・重症度が増加することは想像に難くない.近年,約5万人を対象とした台湾からのコホート研究では,糖尿病性腎症の存在が網膜症進展の予知因子であることが明らかとなった15).腎症が進展すると高血圧,脂質異常症の頻度・重症度ともに増大することがこの結果の原因のひとつであるかもしれない.このことから,腎症の進展抑制を図ることで網膜症の進展抑制にもつながる可能性が期待される.末期腎不全の発症率(%)302010020 25 30 35Observation yearsp<0.001 by log-rank test5 10 15239 134 5613327109399267466428494449Number at riskGroup A 529Group B 485・Group A:1961~1984年に1型糖尿病発症・Group B:1985~1999年に1型糖尿病発症Group AGroup B0図3当センター通院中の1型糖尿病患者における末期腎不全発症率─年代別の比較─462541,373711763902452263010% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%顕性腎症期早期腎症期腎症前期網膜症なし単純網膜症増殖前・増殖網膜症n = 2,064n = 656n = 362図4糖尿病患者における腎症と網膜症の合併頻度(東京女子医科大学糖尿病センター)