カレントテラピー 35-1 サンプル page 25/32
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カレントテラピー 35-1 サンプル
76 Current Therapy 2017 Vol.35 No.176が使用されている糖尿病性腎症患者へのfinerenoneの併用効果が,二重盲検試験によって評価された.その結果,finerenoneの追加投与により,アルブミン尿が有意に減少し,eGFRの有意な変化はなく,高K血症は低率であった(図2,3).Finerenoneの最大使用量でも収縮期血圧は約5mmHgしか低下しておらず,尿アルブミン低減効果は降圧効果とは関連しないと考察されている.わが国でも,糖尿病性腎症を対象とした複数のMR阻害薬の治験が進行中であり,その結果が待たれる.Ⅵ SGLT2阻害薬SGLT2阻害薬は腎臓からのブドウ糖排泄を増加させることによって血糖降下を発揮する薬剤である.最近行われたEMPA-REG OUTCOME試験において,心血管疾患の既往がある2型糖尿病患者を対象に,エンパグリフロジンの心血管イベントに対する効果が検証された.この試験では,エンパグリフロジンにより心血管エンドポイントが有意に抑制されたが,副次評価項目であった腎イベントも抑制され注目を集めている11),12).SGLT2阻害薬が腎保護効果を示すメカニズムは明らかではないが,現在,糖尿病性腎症を対象にしたカナグリフロジンとダパグリフロジンの治験が進行中である.Ⅶ おわりに糖尿病性腎症の成因に基づいた新しい治療標的と,新規治療薬の開発状況を中心に概説した.腎症の発症と進展を抑制して,アルブミン尿を減少/陰性化させることにより,腎不全のみならず心血管死を抑制して糖尿病患者の生命予後とQOLを改善することができる.このためには,アルブミン尿を早期に診断して治療を開始することが重要であり,さらに微量アルブミン尿期にある早期腎症を対象とした治療薬を開発することが急務である.参考文献1)Nakamura A, Shikata K, Hiramatsu M, et al:Serum interleukin-18 levels are associated with nephropathy and atherosclerosisin Japanese patients with type 2 diabetes. DiabetesCare 28:2890-2895, 20052)Shikata K, Makino H:Microinflammation in the pathogenesisof diabetic nephropathy. J Diabetes Investig 18:142-149,20143)Schievink B, de Zeeuw D, Smink PA, et al:Prediction of theeffect of atrasentan on renal and heart failure outcomesbased on short-term changes in multiple risk markers. Eur JPrev Cardiol 23:758-768, 20164)片山茂裕:糖尿病腎症の治療.臨床高血圧 20:18-25, 20145)山本伸也,柳田素子:Bardoxolone methylに学ぶCKDの可能性.医学のあゆみ 249:627-628, 20146)Pergola PE, Raskin P, Toto RD, et al:Bardoxolone methyland kidney function in CKD with type 2 diabetes. N Engl JMed 365:327-336, 20113.03.54.04.55.05.51 7 30 60DayTreatmentB Serum potassium level90 120PlaceboFinerenone1.25 mg/d2.5 mg/d5 mg/d7.5 mg/d10 mg/d15 mg/d20 mg/dMean Serum Potassium Level, mmol/L血清カリウム濃度4060801001 7 30 60DayTreatmentA Estimated glomerular filtration rate90 120Mean Estimated GlomerularFiltration Rate, mL/min/1.73m2eGFR図3 Finerenoneの糖尿病性腎症に対する第2相試験:GFRと血清カリウム濃度の変化〔JAMA. 2015;314(9):884- 894 から引用〕