カレントテラピー 34-9 サンプル

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10 Current Therapy 2016 Vol.34 No.9834内へ戻れば,偽腔内の血流が保たれるため「開存型」となる.リエントリーが形成されなければ出口を失った血液はよどみ,やがて凝固し,偽腔内は血栓化して「閉塞型」となる.その際にエントリーが遺残すれば,そこは内腔からの潰瘍状の突出であるulcer -like projection(ULP)として認識され「ULP型」となる7).Ⅶ 発症の疫学今までの統計では,AADの発症率は3~5人/10万人/年と考えられていた.しかし,救命センターおよび胸部外科のデータを組み入れた急性大動脈スーパーネットワークのデータでは10人/10万人/年とかなり多いことがわかってきた.今まで心肺停止で救命センターに運ばれていた患者が統計に入ったこと閉塞型睡眠時無呼吸高血圧ステロイド高血圧などEntryの形成解離の準備状態=中膜病変解離の発症弾性板の減少,弾性板の破壊弾性板間架橋の減少?図2慢性疾患における解離発症の機序大動脈解離の成因として高血圧,睡眠時無呼吸,ステロイドの長期使用などの「慢性的状態」がある.この場合の解離の準備状態=中膜病変,の主体は「弾性板の破壊減少」「弾性板間架橋の減少」であると考えられている.<正常な中膜> <中膜に病変あり>弾性板の減少弾性板間架橋の破壊減少弾性板弾性板間架橋外膜内膜中膜内膜外膜ずれてゆがみやすい内腔からのずり応力内腔からのずり応力図3中膜病変と解離の発症中膜における「弾性板」の減少と弾性板同士を結び付けている「弾性板間架橋」の減少が,解離の準備状態であり,これに血流によるずり応力などが弾性板をずらすように働いて血管壁の中膜全体が「ゆがむ」ことが,結果的に内膜の破綻を引き起こしてエントリーを形成するという仮説がある.A BULPC D血栓閉塞型ULP型偽腔開存型E図4 急性大動脈解離の分類偽腔の血栓化の程度による分類:血栓閉塞型,ULP 型,開存型の3つに分類される.血栓閉塞型は偽腔に全く血流のないもの(A),開存型は偽腔の一部でも血流のあるもの(C -E)と定義される.ULP型は血栓化偽腔のごく一部に造影剤の突出がみられるものであり(B),5 mmスライスのCT で2スライスまで,と定義されており,(C)のように範囲が広くなると開存型に分類される.