カレントテラピー 34-9 サンプル

カレントテラピー 34-9 サンプル page 27/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-9 サンプル の電子ブックに掲載されている27ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-9 サンプル

92 Current Therapy 2016 Vol.34 No.9916マルチスライスCTによる最新診断(超高精細CT)岩手医科大学循環器放射線科教授 吉岡邦浩岩手医科大学循環器放射線科准教授 田中良一岩手医科大学循環器放射線科助教 高木英誠東芝メディカルシステムズ株式会社 齋藤泰男マルチスライスCTの進歩マルチスライスCTが登場してからまもなく20年を迎えようとしている.この間の装置や画像処理技術の進歩は画像診断に大きなインパクトを与えたが,現在もなお発展を続けている.そのマルチスライスCTの臨床的特徴は,「速く」,「広く」,「細かく」の3点であるが,この20年で「速く」については,1回転0.5秒から0.2 秒台になるとともに,2つの管球をもつことで時間分解能を向上させたCT(DualSource CT:DSCT)も登場した.また,「広く」については4列から320列となり,1回転で16cmの幅をカバーできるようになった.その一方で,「細かく」に関しては,最小スライス厚が0.5mmのままであった.超高精細CT(ultra high-resolution CT)の登場超高精細CTは,最小スライス厚0.25mmを可能とした装置である.それに加えて,面内のマトリックスも従来CTの512×512から1,024×1,024となった.これにより,従来CTの画素(voxel)が0.5×0.5×0.5mmであったのに対し,超高精細CTでは0.25×0.25×0.25mmとなった(図1).これにより,高い空間分解能をもつCT画像を得ることができるようになった.なお,この超高精細CTは東芝メディカルシステムズ株式会社と岩手医科大学とで共同研究開発中の装置で,非商用機である.また,検出器列は0.25mm×128列で,管球回転速度は0.35秒となっている.大動脈解離と超高精細CT大動脈解離においても本装置がもつ高い空間分解能を活かした画像診断が期待されている.いまだ少数例の経験に過ぎないが,大動脈壁や剥離内膜が鮮明に描出され(図2),ulcer likeprojection(ULP)やintramural blood pool(IBP)といった小さな病変や,Adamkiewicz動脈といった微細な血管の描出に優れる印象をもっている.大動脈解離の診断と治療の最近の動向0.5mm 0.25mm図1 超高精細CTの画素の概念図従来CTの画素(voxel)は0.5×0.5×0.5mmの立方体である一方,超高精細CTの画素は0.25×0.25×0.25mmの立方体である.A B図2 大動脈解離のCTA:従来CT,B:超高精細CT超高精細CTは従来CTと比較して,大動脈壁や剥離内膜の輪郭が明瞭である.また,肋間動脈も鮮明に描出されている(矢頭).