カレントテラピー 34-9 サンプル

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カレントテラピー 34-9 サンプル

82 Current Therapy 2016 Vol.34 No.9906背部痛で発症.CT:上行大動脈径38mm,腕頭動脈と左総頸動脈は共通幹から分岐,左鎖骨下動脈分岐直後から解離(図2 a).遠位弓部にエントリーを認める(図2 b).解離は腹部大動脈まで.腹腔動脈,上腸間膜動脈,下腸間膜動脈,左腎動脈は真腔起始,右腎動脈は偽腔起始であった.自覚症状,合併症を伴わないものの,発症から60日後のCTで弓部で37→42 mm,胸部下行大動脈で31→35mmの拡大傾向を認めた.第73病日にsinglevessel debranching(左総頸動脈- 左鎖骨下動脈バイパス)+TEVAR(C-TAG)を施行した(図2 c, d).手術室で呼吸器離脱,翌日離床.第7病日に独歩退院となった.Maruiらは,合併症のないB型解離101例において,慢性期における瘤径の拡大(60 mm以上)に関する予測因子として,急性期瘤径40mm以上でかつ偽腔開存型が独立危険因子であると報告した3).Tolenaarらは,保存的治療を受けたB型解離84症例における偽腔状態を開存型,部分血栓閉塞型,血栓完全閉塞型に分類し,その平均年間拡大速度を検討した結果,部分血栓閉塞型4.3 mm,偽腔開存型2.1mm,血栓完全閉塞型1.5mmと部分血栓閉塞型B型解離に対してより注意深い観察や予防的TEVARを考慮したほうが良い可能性を述べた.その原因に対する仮説として,Tsaiらは,血栓による遠位リエントリー閉塞a bc d左総頸‐鎖骨下動脈バイパス;矢印,左鎖骨下動脈塞栓術;点矢印背面像図2合併症を伴わないB 型解離に対する先制治療(preemptive therapy)