カレントテラピー 34-9 サンプル

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64 Current Therapy 2016 Vol.34 No.9888治療を優先する方針をとってきた3).大動脈解離に対するentry部切除人工血管置換術(central repair)は,解離の合併症である臓器血流障害に対して多くの場合有効である.このため脳,腹部,下肢など心臓以外の臓器血流障害を有する症例に対してもcentral repairを優先する施設が多数であった.しかし最近は脳や腹部に対しても,臓器の再灌流を優先する報告が増加しつつある4).Ⅳ カテーテル治療のコツ造影CT検査所見により,穿刺部位は左右大腿動脈のどちらがよいかを判断する.通常,右大腿動脈のほうが真腔に到達する可能性が高いが,まずは経験豊富な心臓血管外科医の意見を聞く(図2).ガイドワイヤーとカテーテルを大動脈基部まで慎重に進めてから少量の造影剤を注入し,カテーテルが真腔にあるのか偽腔にあるのかを判断する.真腔であれば左室からの速い駆出血流で造影剤が流れていくが,偽腔の場合は造影剤がその場に停滞する.知らず知らずのうちに,ガイドワイヤーがentryから偽腔内に入ってしまったためである.その場でジャドキンスカテーテルを振り回しても決して真腔に入ることはない.偽腔内と判断した場合,カテーテルとガイドワイヤーを胸部下行大動脈まで引き抜き,造影CTでentryの位置を再度確認する.最近のmulti detectorrawCT(MDCT)で注意深く読影すれば,entryの部位はほとんどの場合同定可能である.上行弓部大動脈にentryがあることが多いので,上行弓部で真腔と偽腔を分離するのに適切な透視角度を設定し,真腔をガイドワイヤーが進むようにカテーテルを操作する(図3).真腔偽腔図2 腹部大動脈左右総腸骨動脈分岐部のCT 所見この症例では右大腿動脈からはカテーテルは真腔に到達するが,左大腿動脈からはカテーテルが偽腔に入る危険がある.図3 Entry のCT所見カテーテルとガイドワイヤーを大動脈弓部大弯側に沿って進めると,容易に偽腔に入ってしまう.図4 左冠動脈主幹部のIVUS 所見すでにガイドワイヤーが進んでいるため狭窄は軽度に見えるが,解離の存在が認められる.