カレントテラピー 34-7 サンプル page 20/28
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カレントテラピー 34-7 サンプル
Current Therapy 2016 Vol.34 No.7 63NAFLD/NASH研究の最前線681(AGTR1),transforming growth factor beta 1(TGF-β1)などが報告されている.また,最近19番染色体上のtransmembrane 6superfamily member 2(TM6SF2)もNAFLD発症の感受性遺伝子として報告された9).TM 6 SF 2rs 58542926 のSNP の生理的役割はいまだ明らかではないが,血中コレステロール,中性脂肪,LDLコレステロールや心血管疾患のリスクと関係があると報告されている.LiuらはTM6SF2 variantはPNPLA3variant,性,年齢,BMI,糖尿病などと無関係にNASHの線維化と関連していたと報告している10).また,その後もTM6SF2 variantはNASHの割合が有意に高いとする報告が多い11).Ⅳ NASHの線維化進展に影響する遺伝子イタリアでのNAFLD 253例の検討では,PNPLA3のrisk allele GG genotypeはNASHのリスクが高いとともに,stage 1以上の肝線維化が有意に多いと報告されている12).Hottaらは,253例のNAFLD患者を対象にTaqManR PCRを用いてPNPLA3 rs738409の検討を行い,PNPLA3 genotypeと肝組織における線維化stageとの間に有意な関連が認められたと報告している13).Zainらも,中国人,インドネシア人,マレー人を対象に同様の検討を行い,PNPLA3 rs738409 Galleleは,肝組織のなかで肝線維化と有意な関連が認められると報告している4).Meta -analysisを行ったreviewで,PNPLA3 のI148M variantはNAFLDの壊死・炎症の程度と線維化進展に関係しているとの結論が多い8),14).Singalらは2010~2013年の24論文,9,915人の患者を対象としてmeta-analysisを行い,PNPLA3 GG genotypeは,CGやCCに比べて有意(Odds比:1.32,95%信頼区間:1.20~1.45)に進行した線維化症例の割合が高いと報告している15).しかし,解析された研究のすべては横断的研究であり,対象のほとんどは欧州や米国のCaucasianで,日本人,アジア人の多数例の報告は少ない.また,ChenらはNAFLDのみを対象としたreviewで,PNPLA3 variantとNAFLDの線維化進行の関連は疑いないと報告している16).ここで検討された論文においても欧米人が多く,また線維化の判定法も画像診断が多く,アジア人を対象に組織学的に評価されたNAFLDの線維化進行とPNPLA3 variantとの関連について研究した報告はいまだ少ない.現在,論文投稿中であるが,われわれGWASによる検討PNPLA3, patatine-like phospholipase domain containing 3NCAN, neurocanLYPLAL1, lysophospholipase-like 1GCKR, glucokinase regulatory proteinPPP1R3B, protein phosphatase 1, regulatory subunit 3bSAMM50, sorting and assembly machinery component 50PARVB, parvin βCase-control studyによる検討脂肪蓄積関連PEMT, phosphatidylethanolamine N-methyltransferasePPARα, peroxisome proliferator activated receptor alphaPPARγ, peroxisome proliferator activated receptor gammaAPOE, apolipoprotein EAPOC3, apolipoprotein C-3糖代謝関連ADIPOQ, adiponectin酸化ストレス関連SOD2, mitochondrial superoxide dismutase 2UCP3, uncoupling protein 3炎症関連TNFα, tumor necrosis factor alphaIL-6, interleukin 6IL28B, interleukin 28B表NAFLD感受性遺伝子〔参考文献8)より引用改変〕