カレントテラピー 34-7 サンプル page 11/28
このページは カレントテラピー 34-7 サンプル の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
カレントテラピー 34-7 サンプル
48 Current Therapy 2016 Vol.34 No.7666Ⅰ はじめに非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fattyliver disease:NAFLD)は肥満,インスリン抵抗性や脂質異常症を高頻度に合併しており,メタボリックシンドロームにおける肝臓の表現型と考えられている1).NAFLDの患者数は増加の一途を辿っており,現在,健診受診者の推定約30%にNAFLDが認められる1).NAFLDは肝硬変や肝がんに進展し得るだけでなく,心血管疾患やさまざまながんの危険因子であり,非NAFLD患者と比較してNAFLD患者の予後は不良である1).NAFLD患者の多くは生活習慣の悪化が主な原因であり,食事・運動療法はNAFLDの基本治療である.近年,NAFLDに対する食事療法では,摂取エネルギーの適正化だけでなく,脂質代謝や鉄代謝の解析結果に基づいた新たな食事療法の有用性が報告されている.また,運動療法についても,NAFLDの改善に必要な有酸素運動時間やレジスタンストレーニングの効果が報告されている.本稿では,NAFLD/非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)に対する食事・運動療法について最近の知見を中心に概説する.また,本学で取り組んでいるNAFLDに対する新規運動療法「ハイブリッドトレーニング」や「肝がん患者の運動療法」についても併せて論述する.*1 久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門講師*2 久留米大学病院栄養治療部管理栄養士*3 久留米大学病院看護部看護師*4 久留米大学病院リハビリテーション部理学療法士*5 久留米大学医学部整形外科/久留米大学病院リハビリテーション部*6 久留米大学病院看護部看護師・師長*7 久留米大学医学部整形外科・久留米大学病院リハビリテーション部教授*8 久留米大学病院栄養治療部教授*9 久留米大学医学部外科学講座小児外科部門・久留米大学病院栄養部教授*10 久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門主任教授NAFLD/NASH─ 病態に基づいた診断,治療戦略NAFLD/NASHの食事・運動療法川口 巧*1・永松あゆ*2・緒方 奨*3・神谷俊次*4・橋田竜騎*5三浦比呂子*6・志波直人*7・田中芳明*8・八木 実*9・鳥村拓司*10非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)は,メタボリックシンドロームにおける肝臓の表現型と考えられている.そのため,NAFLD/NASH の基本治療は食事・運動療法である.近年,NAFLD/NASHの食事療法において,摂取エネルギーの適正化だけでなく,病態解析の結果に基づく新たな食事療法の有用性が報告されている.また,運動療法についても,レジスタンストレーニングのNAFLD改善効果が報告されている.本稿では,NAFLD/NASHに対する食事・運動療法について病態を含めて最近の知見を中心に概説する.また,本学で取り組んでいるNAFLDに対する新規運動療法「ハイブリッドトレーニング」や「肝がん患者の運動療法」についても併せて論述する.