カレントテラピー 34-6 サンプル

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8 Current Therapy 2016 Vol.34 No.6518Ⅰ はじめに─すべての栄養業務の基本としてのガイドライン─『日本人の食事摂取基準』は,厚生労働省が策定している,食事・栄養に関する唯一の包括的ガイドラインである.正式名称は食事摂取基準である.栄養摂取基準ではないので注意を要する.以前は栄養所要量と呼ばれ,そのころは健康者を対象とし,その目的は健康維持にほぼ限定されていた.その後,疾病予防(一次予防または発症予防)が加わり,2015年版では重症化予防にまで踏み込んだ.この点において,2015年版は糖尿病の診療(治療)に携わっている医療者にも深く関連するものとなった.食事療法が重要な糖尿病診療では尚更である.『日本人の食事摂取基準(2015 年版)』(以下,食事摂取基準と呼ぶ)は,全344ページあり,巻末に添えられた2つの参考資料まで含めると440ページにも及ぶ.厚生労働省のサイト(http://www.mhlw.go.jp/file/ 05-Shingikai- 10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/ 0000114399.pdf)でpdfファイルとして全文を閲覧でき,ダウンロードできる.本稿では食事摂取基準の概要の説明を試みる.しかし,本稿をお読みいただいてもおそらく食事摂取基準は理解できないだろう.本稿はその断片の紹介に過ぎない.食事摂取基準そのものを熟読いただくことを強くお願いしたい.Ⅱ 総論─必読の44ページ─総論は44ページで,全440ページの1割に過ぎないが,用語の定義や目的,活用方法など,すべてがここで説明されている.管理栄養士だけでなく,糖尿病診療に従事する医師など,医療従事者全員に必* 東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野教授糖尿病治療における食事療法の課題と展望─新たなエビデンスに基づいた食事療法日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要佐々木 敏*『日本人の食事摂取基準』は,厚生労働省が5 年ごとに策定している,食事・栄養に関する唯一の包括的ガイドラインである.以前は栄養所要量と呼ばれ,健康維持にその目的がほぼ限定されていたが,その後,疾病予防(一次予防または発症予防)が加わり,2015年版では重症化予防まで踏み込んだ.食事摂取基準は単なる数値表ではなく,数値の背景となる栄養学的根拠から,その活用方法に至るまで,豊富な論文を用いて詳述されている.また,エネルギーの管理はエネルギー必要量(指示エネルギーに類する指標)よりも体重の変化を重視する,食事摂取基準の活用は食事アセスメントを軸としてPDCAサイクルに従うなど,糖尿病の診療に直結する新たな内容も多い.これらの点において,食事摂取基準は糖尿病の診療に携わっている管理栄養士はもちろん,医療者全員に深く関連するものであるため,熟読いただくことを強くお願いしたい.