カレントテラピー 34-6 サンプル page 24/30
このページは カレントテラピー 34-6 サンプル の電子ブックに掲載されている24ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
カレントテラピー 34-6 サンプル
86 Current Therapy 2016 Vol.34 No.6596メカニズムについては別の研究により検証される必要があろう.研究プロトコールを確認してみると,2週間のrun -in期間の後,無作為化されて12週間の間は標準的治療にエンパグリフロジンかプラセボがadd -onされるのみで,空腹時血糖値240mg/dLを超える場合にのみ治療の強化が認められた.12週より急に心不全による入院が増えた後は,エンパグリフロジン群とプラセボ群のイベント累積の傾きはほぼ並行である.ここからは完全に私見となるが,本研究の参加者は約10%に心不全が存在していたとされるが,糖尿病では心不全の合併が多いうえに,46%に心筋梗塞の既往があることからも,より多くの無症状の心不全患者が潜在的にエントリーされていた可能性がある.血糖コントロール不良による尿糖を介した浸透圧利尿が,結果として心不全症状をマスクしていたところを,プラセボ群では血糖コントロール強化により浸透圧利尿が少なくなったために,decompensationの結果として心不全による入院を増加させたのではないかと推測している.一方,エンパグリフロジンは浸透圧利尿を伴いながら血糖コントロールを改善するために心不全の悪化を起こしにくかったのではないだろうか.著者の一人であるInzucchiらは血圧,血糖,脂質,プラセボ群(n=2,333)エンパグリフロジン10mg群(n=2,345)エンパグリフロジン25mg群(n=2,342)n( %)100人・年あたりの発現率n( %)100人・年あたりの発現率n( %)100人・年あたりの発現率尿路感染関連有害事象を発現した患者423(18.1%) 8.21 426(18.2%) 8.02 416(17.8%) 7.75性別男性158(9.4%) 3.96 180(10.9%) 4.49 170(10.1%) 4.09女性265(40.6%) 22.81 246(35.5%) 18.83 246(37.3%) 20.38腎盂腎炎22(0.9%) 0.38 15(0.6%) 0.25 20(0.9%) 0.33尿路性敗血症3(0.1%) 0.05 6(0.3%) 0.10 11(0.5%) 0.18性器感染関連有害事象を発現した患者42(1.8%) 0.73 153(6.5%) 2.66 148(6.3%) 2.55性別男性25(1.5%) 0.60 89(5.4%) 2.16 77(4.6%) 1.78女性17(2.6%) 1.09 64(9.2%) 3.93 71(10.8%) 4.81低血糖を発現した患者650( 27.9%) 656( 28.0%) 647( 27.6%)介助を必要とした低血糖を発現した患者36( 1.5%) 33( 1.4%) 30( 1.3%)糖尿病性ケトアシドーシス1(<0.1%) 0.02 3(0.1%) 0.05 1(<0.1%) 0.02急性腎不全155(6.6%) 2.77 121(5.2%) 2.07 125(5.3%) 2.12体液量減少115(4.9%) 2.04 115(4.9%) 1.97 124(5.3%) 2.11血栓塞栓性イベント20(0.9%) 0.35 9(0.4%) 0.15 21(0.9%) 0.35骨折91(3.9%) 1.61 92(3.9%) 1.57 87(3.7%) 1.46 表有害事象