カレントテラピー 34-6 サンプル page 21/30
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カレントテラピー 34-6 サンプル
Current Therapy 2016 Vol.34 No.6 83593Ⅰ はじめに糖尿病を取り巻く薬剤については,2009年DPP4阻害薬,2010年にGLP - 1受容体作動薬,メトホルミン高用量療法への拡大,およびDPP4阻害薬のインスリン併用療法への拡大,新規のインスリン製剤など,2009年以降に大きな変革を遂げてきた.また,2014年より本邦でもSGLT2阻害薬が使用可能となり,選択肢の増加により各患者の背景因子に応じた薬剤選択をとれるようになった.本薬剤は,インスリン分泌能に依存しない血糖降下作用とカロリーロスに伴う体重減少効果,血圧低下作用などが期待されている.一方でSGLT 2阻害薬の市販後の副作用報告で,脱水症,ケトアシドーシス,脳梗塞などの報告が相次ぎ,2014年夏に日本糖尿病学会から投与に伴う勧告が出され,脱水や血圧低下に伴い心血管イベントの増加や,インスリン不足によるケトアシドーシス,低血糖などに対する注意喚起がなされた1).米国では2008年のFDA勧告以降,新規糖尿病薬については心血管イベントの非劣性に関する検討が義務づけられており2),心血管イベントハイリスクの2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジンを用いた大規模臨床研究(EMPA-REG OUTCOME study)が実施された3).本稿では,私見を交えて解説させていただくこととする.Ⅱ EMPA-REG OUTCOME studyのprimary endpointに対する効果本研究の目的は,心血管イベントのリスクが高く,かつ標準治療を受けている2型糖尿病患者において,SGLT2阻害薬による心血管疾患抑制効果(EMPA-REG OUTCOME study)森野勝太郎*1・前川 聡*2*1 滋賀医科大学内科学講座(糖尿病内分泌・腎臓・神経)学内講師*2 滋賀医科大学内科学講座(糖尿病内分泌・腎臓・神経)教授糖尿病治療における食事療法の課題と展望─新たなエビデンスに基づいた食事療法新規経口糖尿病治療薬としてナトリウム/グルコース共役輸送体(Na+/glucose cotransporter:SGLT)阻害薬が開発され,海外では2013年より,本邦でも2014年より臨床の場で使われるようになった.本薬剤は,インスリン分泌能に依存しない血糖降下作用とカロリーロスに伴う体重減少効果,血圧低下作用などが期待されている.一方で,脱水や血圧低下に伴い心血管イベントが増加する懸念も存在した.2008年の米国食品医薬品局(FDA)勧告以降,新規糖尿病薬については心血管イベントの非劣性の検討が義務づけられており,心血管イベントハイリスクの2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジンを用いた大規模臨床研究(EMPA-REG OUTCOME study)が実施された.その結果は,ハイリスク患者の複合心血管イベントがプラセボに対して非劣性であるのみならず,投与早期より抑制するという点で大きく注目されている.本稿では,EMPA-REGOUTCOME studyの結果について解説する.a b s t r a c t