カレントテラピー 34-5 サンプル page 6/34
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カレントテラピー 34-5 サンプル
Current Therapy 2016 Vol.34 No.5 9419で,陽子線は最近の集学的治療において,化学放射線療法に応用され,毒性低減や効果増強が期待されている.Ⅲ 粒子線治療の施設数,疾患構成世界の粒子線治療施設は年々増加を認めており,現在では60を超える施設数となっている.図1に世界の粒子線治療施設数の年次別推移を示す1).粒子線治療施設の約8割は陽子線治療であるが,近年は重粒子線治療の施設も増加しつつある.地域別に見ると,やはり欧州,北米で多く,それに次いでアジアの施設が多い(図2).現在約20程度のアジアの施設のうち,日本に15施設が存在する.北米には重粒子線施設は現在のところ認められず,すべて陽子線治療施設である.国別に粒子線治療施設を多く有するトップ3は,米国,日本,ドイツの順になる.わが国においては,現在15施設(陽子線治療10施設,重粒子線治療5施設)が稼働しており,約5, 000例のがん患者が粒子線治療を受けている.新規放射線治療患者は,年間20万人とされているので,粒子線治療を受けているのはこのうち約2%(全癌患者の0.5%に相当)と言うことになる.日本粒子線臨床研究会が調査した年度別の患者数を図3に示す.現在のところ,陽子線治療が約3,000例に,重粒子線治療が約2,000例に行われている.日本の粒子線治療の主な対象疾患として,前立腺癌,肝癌,頭頸部癌,肺癌,骨軟部腫瘍などが挙げられるが(図4),最近では,食道癌,膵癌,小児がんへの利用が増加傾向にある.また,小児がんのほとんどは,安全性の面から陽子線治療で治療されており,切除非適応の骨軟部腫瘍は,高い治療効果が期待される重粒子線治療での実施例が多いという特徴がある.疾患構成は,前立腺癌が多い施設や,頭頸部癌が多い施設など,施設ごとにある程度の特徴がある.図5に示した筑波大学の陽子線治療では,肝癌への治療が約1/ 3を占めるのが特徴である.これらは,粒子線治療を実施する各病院の特徴(総合病院,がんセンター,単独の粒子線センターなど)や,各施010203040506070粒子線全体陽子線重粒子線1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014図1世界の粒子線治療施設数の推移〔Ruysscher DD, et al:Radiotherapy and Oncology103:5-7, 2012より引用改変〕0510152025303540欧州北米アジア粒子線全体陽子線重粒子線図2 世界の地域別の粒子線治療施設数〔Ruysscher DD, et al:Radiotherapy and Oncology 103:5-7,2012より引用改変〕