カレントテラピー 34-5 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.5 77医療技術解説487である12).安全かつ高精度に放射線治療を行うためには,腫瘍のIMの影響や毎回の治療時の患者位置誤差(set-up margin:SM)を含めた標的体積を設定する必要がある.画像誘導放射線治療は,これらのマージンを安全に縮小することができる.Ⅴ 新型動体追跡装置を用いた画像誘導・動体追跡放射線治療動体追跡装置は,1999年に白土らによって開発された四次元放射線治療用の装置であり,4つ(第一世代)または2つ(第二世代)のX線管とイメージインテンシファイア(I.I.)のX線透視撮影装置からなる13).2方向のX線透視画像をパターン認識画像処理することで,肺腫瘍付近に留置された金属マーカの三次元位置座標をリアルタイムに算出し,呼吸性移動によって動く金属マーカ(腫瘍)を追跡することが可能である.X線透視位置は3方向から選択することができ,医療用加速器の照射角度(ガントリ,カウチ角度に依存せず)に制約を受けることなく,金属マーカの追跡をすることが可能である.旧型は,三菱電機製の動体追跡装置と医療用直線加速器の一体型であったが,新型は,島津製作所により再開発された動体追跡装置と,バリアンメディカルシステムによる医療用加速器とを組み合わせた画像誘導・動体追跡治療装置である(図1,2).旧型の動体追跡装置はモノクロI.I.を使用しており,金属マーカの動きを追跡することに特化していたため金属マーカの認識率は高かったが,腫瘍や周囲の臓器を認識することは困難であった.また,金属マーカが心臓や肝臓などに重なると,マーカの認識率が低下し,追跡が不可能になる状況もあった.しかし,新型動体追跡装置はカラーI.I.を使用しており,R(Red)・G(Green)・B(Blue)成分の画像を使用することで,ダイナミックレンジが拡大されることから,金属マーカが心臓や肝臓などに重なる場合でも,高い認識率を担保することができる.また,透視画像を見ると,腫瘍の位置や骨構造,横隔膜などを確認することも可能となった14).さらに,30msec間隔で取得されるカラーI.I.による透視画像のR・G・B成分を使用することで,高精度な追跡精度を得ることが可能となった.取得されたカラーI.I.画像の各R・G・B成分の画像に対して,パターン認識画像処理を用いて,探索領域内を設定したテンプレート画像との画像一致度を算出する.各R・G・B成分の画像に対して,算出された画像一致X線管医療用加速器カラーI.I.図1山口大学に導入された画像誘導・動体追跡治療装置