カレントテラピー 34-5 サンプル page 24/34
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カレントテラピー 34-5 サンプル
Current Therapy 2016 Vol.34 No.5 75485Ⅰ はじめにコンピュータ・IT・機械工学の発展により,放射線治療は,がん治療の3本柱のひとつとして,がん診療における確固たる立場を築いてきた.また,それ単独のみならず,集学的治療の一環としても,根治的治療から対症療法まで幅広くがん診療に関わり,重要な役割を担っている.X線画像を使用して治療計画を行っていた二次元放射線治療時代から,Computed Tomography(CT),Magnetic Resonance Imaging(MRI),PositronEmission Tomography(PET)画像を用いて,人体解剖構造を三次元的に把握,標的体積を正確に同定し,より高精度に,放射線を標的体積に照射することを可能とする三次元放射線治療の時代へと変遷し,現在では,医療現場においてルーチンとして用いられるまで技術は進歩してきた.しかし,三次元放射線治療では,人体解剖構造把握による放射線治療は実現されてきたが,時間経過により変化する人体の体内変化(例えば呼吸運動や蠕動運動など)に対応した放射線治療は実現されていない.近年,放射線治療の四次元化(三次元空間+時間)に向けた研究開発も進んできており,臨床への展開も期待されている.本稿では,四次元放射線治療のひとつである画像誘導・動体追跡放射線治療の技術解説を行う.Ⅱ 呼吸性移動を伴う部位への放射線治療の問題点International Commission on Radiation Unit andMeasurements report 62に記述されている体内移動(internal margin:IM)には,さまざまな要素(呼吸性移動,嚥下運動,腸管運動,腸管内容量,尿,出血,炎症,胸腹水,筋肉運動,腫瘍縮小・増大)があるが,胸部・腹部臓器において,IMの最大の要因となるのが呼吸性移動である1).胸部や腹部など呼吸性移動を伴う腫瘍に対する放射線治療は,安全に実施するために,腫瘍が呼吸運*1 山口大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学講座助教*2 山口大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学講座教授放射線治療─ 最近の動向と展望画像誘導・動体追跡放射線治療椎木健裕*1・澁谷景子*2放射線治療は,コンピュータなどの技術の進歩により目覚ましい発展を遂げ,がん治療の3本柱のひとつに位置づけられている.現在の放射線治療は,CT画像を用いて,人体の解剖学的情報を基に行う三次元放射線治療が主流となっている.しかし,呼吸運動や蠕動運動など時間経過により変化する人体の体内変化に対応した放射線治療は実現されていない.近年,放射線治療の四次元化(三次元空間+時間)に向けた研究開発も進んできており,臨床への展開も期待されている.本稿では,四次元放射線治療のひとつである画像誘導・動体追跡放射線治療の技術解説を行う.