カレントテラピー 34-5 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.5 13放射線治療の最近の動向423として頸部腫瘍,胸部腫瘍,腹部腫瘍,骨盤腫瘍(泌尿器,婦人科,胃腸を含む)を挙げている.Group2の疾患でも,陽子線治療を行うには上記の4つの基準のいずれかを満たす必要があり,これらの疾患においても新しいエビデンスがでれば,Group1への移行が示唆されている.特に前立腺癌に対しては,他の有効な治療(IMRT,小線源治療)との比較を臨床試験や登録事業によって行うことが適切であると述べている.一方で,有効性や安全性の面でX線治療と同等であることが明らかな場合や,緊急照射やX線でも治療可能な対症療法などの場合には,陽子線治療を用いるべきではないと記載されている.Ⅵ 世界の陽子線治療の保険収載の動向その他の国々の保険収載の動向について表2に示す.各国での保険医療制度の違いがあるので,解釈には注意を要するが,やはり小児腫瘍,頭蓋底,骨軟部腫瘍,脊椎腫瘍,眼球腫瘍などは,ほぼすべての国で保険適応疾患としてすでに認められている.ドイツでは,適応として認められている疾患数が多く,脳腫瘍,乳癌,胃癌,婦人科癌に加えて前立腺癌も記載されている.興味深いのは,照射後の再発癌に対する治療が挙げられ,陽子線治療のひとつの新しい適応分野と考えられる.各国の状況の詳細は,表2の出典を参照願いたい.Ⅶ おわりに粒子線治療は,その効果・安全性の高さへの期待から先進諸国での施設数が増加傾向にある.本邦でも施設数の増加に伴い,小児がん,頭蓋底・骨軟部腫瘍,頭頸部非扁平上皮癌,などの希少癌,および巨大肝癌などのコモンキャンサーを対象に保険収載が検討され,いくつかの疾患では実現しつつある.しかし,定位放射線治療,IMRT,高精度小線源治療など,画像誘導を用いた高精度放射線治療との優劣や適応のすみ分けに関しては,まだ明らかになっていない部分も多いのが現状である.本邦においては,主に先進医療として行われてきた現状があり,良質な診療を広く提供してゆくためには,今後数年間でエビデンスを構築してゆくとともに,各施設での診療の質の担保,粒子線治療を担う人材育成が重要となる.参考文献1)De Ruysscher D, Mark Lodge M, Jones B, et al:Chargedparticles in radiotherapy:A 5-year update of a systematicreview. Radiother Oncol 103:5-7, 20122)PROTON BEAM THERAPY(PBT):(https://www.astro.org/uploadedFiles/Main_Site/Practice_Management/Reimbursement/ASTRO%20PBT%20Model%20Policy%20FINAL.pdf)(2016年2月閲覧)3)Patel SH, Wang Z, Wong WW, et al:Charged particle therapyversus photon therapy for paranasal sinus and nasal cavitymalignant diseases:a systematic review and meta-analysis.Lancet Oncol 15:1027-1038, 20144)Chiba T, Tokuuye K, Matsuzaki Y, et al:Proton beam therapyfor hepatocellular carcinoma:a retrospective review of 162patients. Clin Cancer Res 11:3799-3805, 20055)Mizumoto M, Okumura T, Hashimoto T, et al:Proton beamtherapy for hepatocellular carcinoma:a comparison of threetreatment protocols. Int J Radiat Oncol Biol Phys 81:1039-1045, 20116)Sugahara S, Oshiro Y, Nakayama H, et al:Proton beam therapyfor large hepatocellular carcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys76:460-466, 20107)Hata M, Tokuuye K, Sugahara S, et al:Proton beam therapyfor aged patients with hepatocellular carcinoma. Int J RadiatOncol Biol Phys 69:805-812, 20078)Sugahara S, Nakayama H, Fukuda K, et al:Proton -beamtherapy for hepatocellular carcinoma associated with portalvein tumor thrombosis. Strahlenther Onkol 185:782-788, 2009