カレントテラピー 34-4 サンプル

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12 Current Therapy 2016 Vol.34 No.4324チェックポイント阻害薬等と併用すると,相乗的に抗がん免疫が高まるようである.すでに,talimogenelaherparepvecを抗PD - 1抗体や抗CTLA - 4抗体と併用する臨床試験がスタートしており,ポジティブな結果が得られつつあるようである.Ⅵ おわりに─複数の治療法を組み合わせた複合療法の時代へ─メラノーマでは転移が出現するとどうしようもない,というのが少し前までの状況であった.しかし,新しい治療法が出現するようになり,メラノーマを治すことができる日が近い将来くるのではないか,という希望をもてる状況になりつつある.ただ,メラノーマに限らずがんは均一ではなくheterogenousな集団である17).患者によって病状は異なるし,また個々の患者の腫瘤の中にもさまざまながん細胞が入り混じっている.したがって1つの治療法では,すり抜けてしまうがん細胞が出現する危険性がある.すでに2つの免疫チェックポイント阻害薬の併用や,免疫チェックポイント阻害薬とがん治療用ウイルスの併用といった複数の治療法を組み合わせる試みが進んでいる.ここでは取り上げられなかったが,BRAF, MEKといったシグナル分子に対する分子標的薬,樹状細胞療法といった治療法はもとより,従来から用いられてきた抗がん剤や放射線照射も複合的に用いることによって,今までにない有用性が得られる可能性が開けるであろう.免疫チェックポイント阻害薬を放射線療法と組み合わせて用いることで有効性が高まることも報告されている37).また,シクロホスファミドはTreg 細胞を減少させることが知られているが38),抗PD- 1抗体と併用するとT細胞の抗腫瘍活性が持続することが報告されている39).メラノーマに限ったことではないが,がんというheterogenousな集団を相手にするとなると,治療法も画一的という訳にはいかないであろう.メラノーマを治療していく際に,複数の治療法のなかからいくつかを選んで,組み合わせて複合的に治療していくとなると,がん細胞の状態や治療法への反応性を示すバイオマーカーの確立が重要である.腫瘍内に多数のリンパ球浸潤がある場合,免疫チェックポイント阻害薬の有効性が高い,と報告されている40).また,BRAF 変異陽性のメラノーマの場合,末梢血中に多数のBRAF 変異DNAが流れており,この腫瘍由来のDNAが病状を反映することも知られている41).今後,さらに多くのバイオマーカーが開発され,メラノーマの状態をより正確に把握することができるようになると,メラノーマの治療はさらに充実していくに違いない.参考文献1)Eggermont AM, Kirkwood JM:Re-evaluating the role ofdacarbazine in metastatic melanoma:what have we learnedin 30 years? Eur J Cancer 40:1825-1836, 20042)Hodi FS, O’Day SJ, McDermott DF, et al:Improved survivalwith ipilimumab in patients with metastatic melanoma. NEngl J Med 363:711-723, 20103)Margolin K, Ernstoff MS, Hamid O, et al:Ipilimumab inpatients with melanoma and brain metastases:an open -label, phase 2 trial. Lancet Oncol 13:459-465, 20124)Robert C, Long GV, Brady B, et al:Nivolumab in previouslyuntreated melanoma without BRAF mutation. N Engl J Medがん細胞正常細胞がん治療用ウイルスがん正常細胞細胞樹状細胞リンパ球ウイルスによる直接的ながん細胞の破壊特異的な抗がん免疫の誘導図2がん治療用ウイルスの働きウイルスによる直接的ながん細胞の破壊と抗がん免疫の誘導