カレントテラピー 34-4 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.4 21333良性腫瘍・血腫・血管腫など多くのものが含まれる1).悪性腫瘍では,高齢者の顔面に好発する基底細胞癌があり,良性腫瘍ではよく見かけるものとして色素性母斑・脂漏性角化症などがある.これらの鑑別には,後述するダーモスコピー検査が有用である.Ⅲ 病型分類と臨床症状(Clark分類)MMの病型分類では,Clarkらの提唱した分類に追加がなされた4型分類が一般的である1).MMでは腫瘍の厚さ(tumor thickness)で予後が決まることや遺伝子異常の関与の点などからこの分類が疑問視されることもあるが,各病型には一定の特徴があり,MMの臨床を理解するうえで重要である.ただし,実際には中間型や分類の難しいものがある.1 表在拡大型黒色腫(superficial spreading melanoma)体幹や四肢非末端部に好発する.濃淡差のある褐色から黒褐色の色素斑として発症するが,色調は多彩で黒色・褐色・青黒色・赤色・灰色・白色などが混在する(図1).数カ月から数年かけて拡大し,一部が隆起してくる.白人では圧倒的多数を占めるが,日本人においても増加傾向にある.2 悪性黒子型黒色腫(lentigo maligna melanoma)高齢者の顔面や手背などの日光露光部に好発する.褐色から黒褐色の色素斑として発症し,10年以上の長い経過で浸潤癌となる(図2).比較的予後は良いとされる.3 末端黒子型黒色腫(acral lentiginous melanoma)掌蹠,特に足底に好発する.掌蹠では,黒褐色斑として長く経過した後に結節を生じる(図3).四肢末端に生じる特殊なものとして,爪甲下MMがある(図4).爪甲を縦走する色素線条として始まり,その幅がしだいに拡大して爪全体を覆い,さらに進行すると爪甲の破壊と結節の出現に至る.爪周囲の皮膚に連続して色素沈着がみられることがあり,Hutchinson徴候と呼ばれる.末端黒子型MMや爪部MMは,日本人などの有色人種に多い.4 結節型黒色腫(nodular melanoma)色素斑を伴わず黒色結節のみを主徴とする病型である.ドーム状から半球状の結節性病変で,潰瘍を伴うことが多い(図5).進行が速く,予後不良とされる.図1 表在拡大型黒色腫背部の黒褐色斑で,性状が左右非対称,辺縁は不整で一部不明瞭であり,色調は白色・灰色・青色・赤色など多彩である.大きさは,6mm以上あり,徐々に拡大してきた.MMが疑われる病変では,生検は病変より2mmほど離して行うことが望ましい.図2 悪性黒子型黒色腫30年以上前から左頬部に色素斑があり徐々に拡大してきた.濃淡差のある不規則な黒褐色斑を認める.色調・形態が不均一である.