カレントテラピー 34-3 サンプル

カレントテラピー 34-3 サンプル page 23/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-3 サンプル の電子ブックに掲載されている23ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-3 サンプル

Current Therapy 2016 Vol.34 No.3 812872012』1)では,アルツハイマー型認知症を軽度,中等度,高度の3病期に分類し,抗認知症薬の選択基準を解説している.軽度の段階では,コリンエステラーゼ阻害薬のいずれか1剤を選択し投与する.効果がないあるいは不十分と考えられるときには他剤への変更を考慮する.中等度の病期で初めて治療を開始する場合には,コリンエステラーゼ阻害薬もしくはメマンチンのいずれかで開始する.効果がないあるいは効果不十分,または副作用が発現したときには他のコリンエステラーゼ阻害薬もしくはメマンチンに変更する.事例によっては両剤の併用を考える.すでにコリンエステラーゼ阻害薬による治療が開始されているときにはメマンチンを併用する.高度の段階に進展したときには,ドネペジル5 mgから10 mgへの増量あるいはドネペジル5mgか10 mgにメマンチンを併用する(ガランタミンならびにリバスチグミンは高度アルツハイマー型認知症に保険適用を取得していない).いずれの病期でも効果がないあるいは副作用の発現時には投与中止を考慮するとされているが,注として「治療薬剤の中断により認知機能低下が進行する症例もあるため,治療薬剤の中止は慎重に検討すべきである」と付記されている.Ⅳ 薬効からみた抗認知症薬の使い分け薬効から抗認知症薬の使い分けを考えると,コリンエステラーゼ阻害薬3剤の治療効果には明確な差はない2)とされている.しかし,コリンエステラーゼ阻害薬3剤とメマンチンの間では使い分けが可能になるかもしれない.コリンエステラーゼ阻害薬は,患者さんの行動や感情,言動の活発化を期待できる薬剤といえる.一方,メマンチンはそれらを安定化させるあるいはやや抑制的に作用する可能性が高い.コリンエステラーゼ阻害薬は,自発性の低下や意欲の減退,無関心などが主体のアルツハイマー型認知症患者さんに処方するとよい.易怒性や暴言,不穏,介護に抵抗するなど家族がやや困っている事例にはまずメマンチンを選択するようにしたい.・事例呈示:夫婦ともにアルツハイマー型認知症と診断した事例夫,79歳.数年前から物忘れ症状が目立ってきた.同じことを何回も言う,ご飯を食べたのに食べていないと言う.終日テレビの前に座ってぼーっとしている.易怒性はない.MMSE:14点,ADAS-J cog.:27点.妻,77歳.数年前から物忘れがみられる.現在,表1 抗認知症薬4剤の臨床的特徴一般名ドネペジル塩酸塩ガランタミン臭化水素酸塩リバスチグミンメマンチン塩酸塩商品名アリセプトレミニールイクセロンパッチリバスタッチパッチメマリー作用機序─────────── アセチルコリン分解酵素の阻害─────────── NMDA受容体拮抗適応軽度から高度AD 軽度から中等度AD 軽度から中等度AD 中等度から高度AD治療維持量(1日量)軽中等度 5mg高度 10mg16mg または24mg 18mg 20mg5%以上出現の副作用なし食欲不振 頭痛悪心 嘔吐 下痢食欲不振 悪心 嘔吐接触性皮膚炎なしCmax(ng/mL) 9.97±2.08(5mg) 47.3±8.3(8mg) 8.27±2.31(18mg) 31.73±4.51(20mg)Tmax(hr) 3.00±1.10(5mg) 0.5±2.9(8mg) 0.0±16.0(18mg) 3.4±1.8(20mg)T1/2(hr) 89.3±36.0(5mg) 9.4±7.0(8mg) 3.30±0.59(18mg) 75.4±17.4(20mg)代謝酵素CYP3A4, 2D6 CYP3A4, 2D6 エステラーゼ(CYP関与はわずか)代謝経路主として肝臓主として肝臓主として肝臓肝代謝(30%)蓄積性なしなし不明不明排泄経路主に尿中排泄主に尿中排泄主に尿中排泄主に尿中排泄透析患者への使用慎重投与に該当しない除去率のデータなし慎重投与添付文書記載なし使用に関し不明添付文書記載なし使用に関し不明