カレントテラピー 34-2 サンプル

カレントテラピー 34-2 サンプル page 5/28

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-2 サンプル の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-2 サンプル

8 Current Therapy 2016 Vol.34 No.2112Ⅰ はじめに心房細動がカテーテルアブレーションにより治療可能となって15年が経過した.この間の治療技術の進歩には目覚ましいものがあり,それとともに心房細動を根治させるという考え方自体が,一般臨床医のなかにも広く浸透しつつある.当初の治療対象は発作性心房細動(paroxysmal atrial fibrillation:PAF)だけであったが,現在では慢性心房細動においてもかなりの攻略が可能となっている.しかし,すべての心房細動症例にアブレーション治療の適応がある訳ではなく,その意味で現場には少々の混乱が生じている.医療技術の進歩に伴って,その技術をどのような症例に適応すべきかのガイドラインが学会から呈示される.ガイドラインはその時点において現場の医師が拠り所とするガイドであり,年月および医療レベルの進歩とともに変化してゆくものといえよう.一方で,ガイドラインは一部の最先端施設のために設定されるものではなく,大多数の施設がどのように考えるべきかの指標となるべく作成されている.ゆえにガイドラインを越えて挑戦してゆくところに医療水準の進歩があるとも言えるのかもしれない.心房細動カテーテルアブレーションは現在もなお発展途上にあり,そのガイドラインは,以上のような意味から複雑な意味合いを有していると言わざるを得ない.本稿では,あえて現行のガイドラインを批評する立場から,その現在の位置づけと将来展望をまとめてみたい.Ⅱ ガイドラインの実際まず,学会のガイドラインにおいて,心房細動カテーテルアブレーションがどのように推奨(または制限)されているのかを見てみよう.2011年に改訂され* 東京慈恵会医科大学循環器内科教授カテーテルアブレーションの適応と可能性─進化するテクノロジーとその活用ガイドラインでの位置づけと将来展望山根禎一*心房細動に対するカテーテルアブレーション治療が開始されて15年が経過し,一部の限られた施設だけの治療ではなくなり,多くの病院で治療が行われる時代になりつつある.その適応に関しても,当初は「良性疾患に対する高難易度の手術でリスクが高い」ことを前提として多くの制限がついたガイドラインが作成されたが,今後は「単に良性とは言えない疾患に対する,難易度がそれほど高くない手術でリスクも許容範囲」であることを踏まえたガイドラインに徐々に進化してゆくことが期待される.しかし一方ではやはり度を超えた適応拡大に歯止めをかけなくてはいけないことはガイドラインの重要な役目であり,適応の拡大と制限をバランス良く両立してゆくことが重要な課題となるであろう.