カレントテラピー 34-2 サンプル

カレントテラピー 34-2 サンプル page 21/28

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-2 サンプル の電子ブックに掲載されている21ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-2 サンプル

72 Current Therapy 2016 Vol.34 No.2176戻した.左房内に低電位領域はなかったので肺静脈隔離のみで終了した.6 経過術当日夕方,AFに移行した.入院中2回直流通電を行ったが,洞調律維持は困難であった.アミオダロン(200mg/日)とビソプロロール(1.25mg/日)を開始し,外来フォローとした.アブレーション施行2週間後にはAFを持続していたが,良好なレートコントロールが得られていた(図4B).約2 カ月後に洞調律に復帰した(図4 C).アミオダロンを100mg/日に減量したが洞調律が維持できている.易疲労感は改善した.7 今後の見通し洞調律が維持でき左房のリバースリモデリング(左房径の縮小)が得られることが最も望ましい.その場合,アミオダロンの減量中止を行う.AFが再発した場合,患者の同意が得られれば再アブレーションを行う.同意が得られない場合,もしくは再アブレーションによっても洞調律維持が困難な場合はレートコントロールを行う.実臨床でも,このように洞調律とレートコントロールの“狭間”にいる患者が増えているのではないだろうか.洞調律が維持できることによってもたらされるメリットは大きい.そしてAFアブレーションの目的は,抗不整脈薬併用なしでの長期的な洞調律維持にほかならない.しかし,アブレーションが奏功する可能性は100%ではない.費用のかかる入院を要し,複数回の施行が必要になる可能性もある.患者の症状,病態,年齢を総合的に考えてアブレーションの適応を決定すべきである.Ⅲ レートコントロールよりもアブレーションによる洞調律維持が望ましい患者像アブレーションが普及する以前のAF診療を思い出してみる.発作性AFの場合,まずⅠ群抗不整脈薬を投与する.洞調律維持効果が乏しくなってくると他のⅠ群抗不整脈薬やⅢ群抗不整脈薬(ベプリジルやソタロール)に変更する.それも効果が乏しくなってくる段階では持続性AFに移行していることが多い.患者に,「洞調律はあきらめてレートコントロールにしましょう.それも決して悪くない治療ですよ」と伝え,抗不整脈薬はやめてβ遮断薬を投与する.このような展開が多かった.現在は,ここにアブレーションという強力な洞調律維持のための選択肢が存在する.持続性AFの場合,洞調律はあきらめてレートコントロールにするのか,またはアブレーションまで行うかの判断が悩ましい症例が多い.どのような患者に対し積極的にアブレーションを勧めるべきであろうか.まず,AFの持続が生体に悪影響を及ぼすことが明らかな場合,すなわち,AFの持続により左房拡大,心機能低下,心不全症状が進行している症例,またはそうなることが予想される症例が挙げられる.このような症例は多くの場合,肥大心,不全心,ⅡⅢⅡⅢⅡⅢAⅠⅠⅠBC106/分83/分65/分図4 持続性AFに肺静脈隔離を行った自験例A:初診時.頻脈性AFを呈している.B:肺静脈隔離後再発.レートコントロールできている.C:2カ月後,洞調律に復帰.