カレントテラピー 34-12 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.12 71141過活動膀胱の最新の治療― QOL改善に広がる選択肢―企画日本大学医学部泌尿器科学系主任教授髙橋 悟過活動膀胱(overactive bladder syndrome:OAB)は,「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり,通常は頻尿と夜間頻尿を伴い,切迫性尿失禁は必須ではない」と定義される.もちろん,その診断には類似した症状を起こし得る局所的な病態(膀胱癌,前立腺癌,膀胱結石,細菌性膀胱炎,前立腺炎,間質性膀胱炎など)を除外する必要がある.本邦の40歳以上を対象とした2002 年の大規模疫学調査での有症状率は12.4%であった.また,2012 年の人口構成では有症状率は14.1%で有症状者は1,040万人と推定され,多くの人々の生活の質(QOL)を障害している.2015年4月に『過活動膀胱診療ガイドライン[第2版]』が刊行された.本ガイドラインの利用者には一般医家と泌尿器科専門医が想定され,一般医家向けのアルゴリズムと専門的診療アルゴリズムの2つが掲載された.また27のclinical questionsを設けて,読者の理解促進を図っている.一方,下部尿路は男女によって大きく異なるため,その病態,治療法にも性差がある点に注意する必要がある.大きな流れは,女性患者あるいは前立腺肥大症のない(おおむね50歳未満)男性患者と前立腺肥大症のある男性患者に分け,行動療法と各種薬剤の併用を含めた症例に応じた薬物療法を行う.これまで第一選択薬は「抗コリン薬」であったが,近年「β3作動薬」が加わり,口内乾燥,便秘,排尿障害などの副作用が軽減され,治療の選択肢が広がった.また,これらで効果不十分なものは「難治性OAB」とし,神経変調療法(電気・磁気刺激療法,仙髄神経電気刺激療法,経皮的脛骨神経刺激療法)やボツリヌス毒素膀胱壁注入療法(本邦では未承認,現在臨床治験中)を行うとしている.本特集では,このガイドラインに沿って診断,ならびに内科的治療を中心にOAB の最新治療について解説する.座談会では「性差からみた過活動膀胱の治療」をテーマに,ガイドライン作成委員長を務めた武田正之 山梨大学泌尿器科教授と後藤百万 名古屋大学泌尿器科教授のお二人に,実臨床におけるポイントをお話しいただいた.今回ご執筆いただいた先生方はOABの診療・研究における精鋭揃いである.この場をお借りして厚く御礼申し上げる.本特集が読者の先生方の診療に少しでもお役に立ち,一人でも多くの悩める患者さんが快適な生活を送れるようになれたなら,望外の喜びである.エディトリアル