カレントテラピー 34-12 サンプル

カレントテラピー 34-12 サンプル page 26/36

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-12 サンプル の電子ブックに掲載されている26ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-12 サンプル

72 Current Therapy 2016 Vol.34 No.121206難治性過活動膀胱東邦大学医療センター大橋病院泌尿器科教授 関戸哲利1 難治性過活動膀胱(overactive bladder:OAB)の定義一次治療である行動療法および各種抗コリン薬(経口薬,貼付薬)やβ3作動薬を含む薬物療法を単独ないし併用療法として,少なくとも12週間の継続治療を行っても抵抗性である場合,とされている.2 難治性OABに対する検査OABは症状症候群であり確定診断名ではない.このため,OAB症状の原因となりうる,神経疾患,癌や結石,膀胱周囲の炎症性疾患,重症の前立腺肥大症や骨盤臓器脱など,その疾患に対する内科的・外科的治療を優先させるべきものを精査により鑑別する.3 難治性OABの治療1)患者教育や治療目標の再設定2)薬物療法抗コリン薬の交替療法や抗コリン薬からβ3作動薬への変更などがある.最近報告されたソリフェナシンとミラベグロンの併用療法に関する第Ⅲ相試験(BESIDE試験)では,ソリフェナシン5 mg 投与後にOAB症状の残存した症例に対する併用療法は,ソリフェナシン5 mgに対して24時間尿失禁回数と排尿回数,3日間尿失禁回数の改善が有意に優れ,ソリフェナシン10 mgに対して24時間排尿回数と3日間尿失禁回数の改善における非劣勢が証明された.3)ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(本邦未承認)最近のメタ解析によれば,プラセボと比較して24時間尿失禁回数と排尿回数,膀胱容量と排尿量がそれぞれ,1 . 7回と1 . 8回減少,64mLと33mL増加し,尿禁制率は29%とOABに対する有効性が示されている.4)神経変調療法干渉低周波療法は,陰部神経,骨盤底筋,尿道括約筋,交感神経などを刺激する治療で,切迫性尿失禁の改善率は54~91%とされる.仙髄電気刺激療法(本邦未承認)は,膀胱求心路を介する異常信号の中枢への入力を阻止し,最近報告された電気刺激と薬剤の変更との比較試験(InSite研究)では,治療成功率が76% vs. 49%と薬剤の変更に比べて有意に良好であった.経皮的後脛骨神経電気刺激(本邦未承認)は,仙髄電気刺激療法の低侵襲版といえ,最近の系統的レビューによれば有効率が37~100%とされる.磁気刺激療法は,体組織が抵抗とならず標的組織に十分な刺激を与えられる利点があり,切迫性尿失禁の改善率は50~85%とされる.5)外科的治療自家膀胱拡大術,腸管利用膀胱拡大術などがある.過活動膀胱の最新の治療─QOL改善に広がる選択肢