カレントテラピー 34-12 サンプル

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カレントテラピー 34-12 サンプル

70 Current Therapy 2016 Vol.34 No.1212041~3割は男性患者を対象としており,α遮断薬と抗コリン剤の併用に代わって,ミラベグロンとの併用も実臨床では施行されていると思われる.Ⅲ 抗コリン剤およびミラベグロンの併用療法抗コリン剤と異なるメカニズムをもつミラベグロンの効果と,そのプラセボと変わらない副作用の少なさから,抗コリン剤の利点を活かしながら,生活の質(QOL)を担保したより一層の治療効果の向上をミラベグロンの追加で試みた検討である.現在のところ,併用療法の抗コリン剤はソリフェナシンでの検討のみである.また,ミラベグロン先行で,効果不十分例に抗コリン剤を追加するというプロトコールはまだ組まれていないが,実臨床では施行されている.基礎的な検討として,自然高血圧ラットでの冷刺激によるOABに対して,それぞれ単剤では無効な用量であるソリフェナシンとミラベグロンを併用したところ,排尿間隔を延長し,そのメカニズムに相乗作用がある可能性が報告されている13).本邦のMILAIstudy 8)は,ソリフェナシン2.5 mgにミラベグロン25mgを追加する少量投与から検討されている.これらの少量投与でも,排尿回数,尿意切迫回数,切迫性尿失禁回数,夜間頻尿回数,一回排尿量などを有意に改善している.また,25mgで改善が不十分な場合には,50mgへの増量で,より改善がみられている.相乗効果の有無は明確ではないが,超高齢化,肝・腎機能障害など代謝機能の低下を伴う患者も増えており,少量投与からの検討は重要である.ただし,本検討では,最大用量であるソリフェナシン5mg,ミラベグロン50 mgの併用でも,副作用は臨床的に容認できる程度で,循環器系はもちろん,男性の尿閉例もなかったことが報告されている.一方,欧米で施行されたSymphony study7)では,ソリフェナシン2.5~10mg,ミラベグロン25~50mgまで単剤,併用療法で検討されている.プラセボとの比較では,ミラベグロン25mg以外のすべての単剤,併用療法で臨床所見の改善がみられ,さらにソリフェナシン5mgとの比較では,ソリフェナシン5mgとミラベグロン25 mgの併用で有意な改善がみられている.したがって,多少の相乗効果も推定される.また,ソリフェナシン10mgとミラベグロン50mgの最大用量でも,心拍数,血圧に有意な問題はなく,尿閉もみられず,口渇や便秘はソリフェナシン単剤と変わらないという結果であった.BESIDE study 9),10)は,ソリフェナシン5mgの1カ月間投与で,切迫性尿失禁が残存したOAB患者に対して,①ソリフェナシン5 mg,ミラベグロン50 mg併用,②ソリフェナシン5mg継続,③ソリフェナシン尿意切迫感の改善尿路上皮のβ3受容体を介したNO放出尿路上皮由来のC線維神経活動の抑制粘膜下層尿路上皮β3-ARC線維マイクロモーションによる求心性神経(Aδ/C)の活動抑制マイクロモーションAδ/C線維膀胱Myogenic afferent activation Urotheriogenic afferent activation膀胱平滑筋の緊張緩和ミラベグロン(β3作動薬) 図2β3作動薬による尿意切迫感の改善メカニズム