カレントテラピー 34-12 サンプル

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68 Current Therapy 2016 Vol.34 No.121202Ⅰ はじめに過活動膀胱(overactive bladder:OAB)の治療選択薬として,抗コリン剤の有効性は広く認知されている.しかしながら,効果不十分症例,副作用症例の対策が指摘されている.特に,口内乾燥,便秘はそれぞれ,約40%,30%の患者が自覚しており,継続使用に困難をきたす場合もある(図1)1),2).したがって,作用機序の全く異なる薬剤が期待されていたが,β3作動薬であるミラベグロンが,臨床の現場に登場してきた.ミラベグロンは,その奏効率の高さ,プラセボと変わらない副作用の発生頻度の低さ3)~5)や,抗コリン剤抵抗性に対する使用という位置づけから,第一選択薬に変わりつつある6).また,残尿を増やすこともないので,男性OAB患者にも使用可能であり,実際,本邦使用患者のほぼ半分は,男性であることが報告されている.抗コリン剤で効果不十分な場合に,①同一の抗コリン剤で増量,②他の抗コリン剤への変更,③ミラベグロンへの変更,④ミラベグロンの追加(可能なら25mgから)が考えられる.経済的な側面からは①~③が望ましいが,作用機序が異なるために,④の併用では,相加効果またはそれ以上の相乗効果が期待できる.特に,抗コリン剤の副作用の点から,同剤を増量することなく,少量のβ3 作動薬を加えることで,十分な効果を発揮できれば,副作用軽減の側面でも大きな福音となる.本稿では,この点を明らかにすべく行われた大規模前向き試験であるSymphony study 7),MILAI study 8),BESIDE study 9),10)の紹介を含めて報告する.β3作動薬と抗コリン剤との併用療法増田 均** がん研有明病院泌尿器科副部長過活動膀胱の最新の治療─QOL改善に広がる選択肢過活動膀胱(overactive bladder:OAB)の治療選択肢として,副作用がきわめて少なく,抗コリン剤とほぼ同等の効果を有するβ3 作動薬であるミラベグロンが発売され,急激に普及した.この2剤の作用メカニズムが異なることから,それぞれ単剤での効果不十分例に対する併用療法の成果が期待され,大規模臨床研究が本邦,海外で施行された.その結果,相加作用以上の有効性が認められ,また副作用はほぼ抗コリン剤単剤と同程度であった.現在,ソリフェナシンとの併用の検討のみであるが,他の抗コリン剤との併用,男性におけるα遮断薬との併用など検討対象は多い.ただし,過剰な併用は控え,少量および単剤から使用していくことが,安全性,医療経済的側面から重要であることはいうまでもない.本稿では,現在までの明らかなエビデンスを報告し,多少の展望も含めて概説する.a b s t r a c t