カレントテラピー 34-12 サンプル page 21/36
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カレントテラピー 34-12 サンプル
Current Therapy 2016 Vol.34 No.12 39治 療1173いる.さらには,膀胱容量や尿失禁量の評価結果を基に適切なオムツやパッドを選択することも必要な支援である.Ⅲ 本邦における現状と問題点本邦におけるOAB治療は薬物療法を主としており,時間をかけて行動療法を実施している施設は多くはないのではないだろうか.このようななかで,2016年4月より排尿自立指導料が新設されたことは福音である.排尿自立指導料は医師,看護師,理学療法士などの多職種が連携し,薬物療法,膀胱トレーニング,骨盤底筋トレーニング,トイレ動作をスムーズに行うためのリハビリテーションといった包括的な排尿ケアを行った際に,6回を上限とし週に1回200点を算定できるとするものである14).このような診療報酬の改定により,適切な排泄ケアが普及していくことが期待される.一方で,今回の対象となっているのは尿道留置カテーテル抜去後に下部尿路機能障害の症状を有するもの,もしくは尿道カテーテル留置中の患者であって,尿道カテーテル抜去後に下部尿路機能障害を生ずると見込まれるものであり,尿道留置カテーテルが挿入されていない患者は対象外となっている.尿道留置カテーテルが挿入されていない患者であってもOABで困窮している患者は多いものと推測され,今後はこういった患者に対しても適切な介入が提供できるよう,体制を整えていく必要がある.Ⅳ おわりにOABに対する種々の行動療法は副作用もなく,まず試みられるべき治療方法のひとつである.排尿日誌などを用いて評価を行い,その結果に基づき,適切な介入を行っていくことが必要である.今後は多職種が連携し,薬物療法だけでなく種々の行動療法も併せて行っていくことができるようなシステムの構築が望まれる.参考文献1) 日本排尿機能学会 過活動膀胱診療ガイドライン作成委員会(編):過活動膀胱診療ガイドライン[第2版].pp123-136,リッチヒルメディカル,東京,20152) Kondo A, Kato K, Takita T, et al:Holding postures characteristicof unstable bladder. J Urol 134:702-704, 19853) Burgio KL:Update on behavioral and physical therapies forincontinence and overactive bladder:the role of pelvic floormuscle training. Curr Urol Rep 14:457-464, 20134) 日本排尿機能学会 夜間頻尿診療ガイドライン作成委員会(編):夜間頻尿診療ガイドライン第1版.pp49-59, ブラックウェルパブリッシング,東京,20095) 岡村菊夫,鷲見幸彦,遠藤英俊ほか:水分を多く摂取することで,脳梗塞や心筋梗塞を予防できるか?システマティックレビュー.日老医誌 42:557-563, 20056) Sugaya K, Nishijima S, Oda M, et al:Change of blood viscosityand urinary frequency by high water intake. Int J Urol14:470-472, 20077) Dallosso HM, McGrother CW, Matthews RJ, et al;LeicestershireMRC Incontinence Study Group:The association ofdiet and other lifestyle factors with overactive bladder andstress incontinence:a longitudinal study in women. BJU Int92:69-77, 20038) Subak LL, Whitcomb E, Shen H, et al:Weight loss:a noveland effective treatment for urinary incontinence. J Urol174:190-195, 20059) Diokno AC, Sampselle CM, Herzog AR, et al:Prevention ofurinary incontinence by behavioral modification program:arandomized, controlled trial among older women in the community.J Urol 171:1165-1171, 200410) Burgio KL, Goode PS, Johnson TM, et al:Behavioral versusdrug treatment for overactive bladder in men:the MaleOveractive Bladder Treatment in Veterans(MOTIVE)Trial.J Am Geriatr Soc 59:2209-2216, 201111) Kafri R, Langer R, Dvir Z, et al:Rehabilitation vs drug therapyfor urge urinary incontinence:short-term outcome. IntUrogynecol J Pelvic Floor Dysfunct 18:407-411, 200712) Kafri R, Deutscher D, Shames J, et al:Randomized trial of acomparison of rehabilitation or drug therapy for urgency urinaryincontinence:1-year follow-up. Int Urogynecol J 24:1181-1189, 201313) 今西里佳:排尿支援のための下部尿路症状評価法─OTとして実施すべきこと─.作業療法ジャーナル 46:445-449,201214) 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会(編):平成28年度診療報酬改定「排尿自立指導料」に関する手引き.照林社,東京,2016