カレントテラピー 34-12 サンプル

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36 Current Therapy 2016 Vol.34 No.121170どの対応策を行い,尿意を落ち着けるようにする.このような尿意をコントロールするテクニックはurgencysuppression techniquesと呼ばれており,2時間を目標に排尿間隔を延長していく.OABのなかでも切迫性尿失禁を伴うOABwetである場合には,尿意切迫感により尿意が高まっているときに焦ってトイレにたつと,かえって切迫性尿失禁が生じやすくなってしまう.これは,焦って動くことにより腹圧がかかり膀胱の知覚が亢進するためであり,トイレを目にするということも視覚的なトリガーとなり得る3).尿意切迫感を感じたときには焦って動かず,前述の対応策により尿意が落ち着いたところでトイレに向かうとよい.膀胱トレーニングを行う際には,排尿日誌などを用いて自身の排尿パターンを把握することが有用である.排尿日誌は日本排尿機能学会のホームページ(http://japanese-continence-society.kenkyuukai.jp/special/?id=15894)から書式をダウンロードすることができる(図1).排尿した時間と排尿量,尿意切迫感や尿失禁の有無,尿失禁の誘発契機,大まかな水分摂取量などについて,可能であれば3日間,具体的に記載をしてもらうことで,膀胱容量や水分摂取量と排尿量のバランスを知ることができる.蓄尿量が200 mLを超え,排尿間隔が2時間を超えたあたりから尿失禁が起こっていることがわかれば,時間をみて2時間おきに排尿を促すことで尿失禁を予防することができる.このように膀胱容量を超えない一定の時間で排尿させることを,定時排尿(timed voiding)と呼ぶ.24時間尿量を体重で除した値が20 mL/kg未満の場合は脱水の危険があり,40mL/kg以上は多尿の傾向を示すとされているが4),実際に排尿日誌をつけてもらうと,24時間尿量が2,000 mL以上となっているケースが多々見受けられる.よく話を聞いてみると,「血液をさらさらにするために,毎日お水を2リットル以上とるようにしています」といったことがよく聞かれる.特に高齢者においては脱水が脳梗塞の発症因子であるとされているが,過度の飲水が脳梗塞の予防になっているという直接的なエビデンスはなく5),飲水後に血液粘稠度の有意な変化は認められなかったと報告されている6).このように水分を過剰に摂取しているために尿量が多くなっている場合には,水分摂取量が適度となるよう指導する.水分摂取量の目安として,『夜間頻尿診療ガイドライン』では,24時間尿量を体重で除した値が20~25mL/kgとなるような水分摂取(60kgの女性であれば1,200~1,500mL)を推奨している4).脱水に注意し,1日に汗をかく量や表 過活動膀胱に対する行動療法の推奨グレード推奨グレード膀胱トレーニングA理学療法骨盤底筋トレーニングAバイオフィードバック療法B生活指導体重減少A運動療法C1禁煙C1食事・アルコール・飲水指導C1便秘の治療C1〔参考文献1)をもとに作成〕1    時    分2    時    分3    時    分4    時    分5    時    分6    時    分7    時    分8    時    分9    時    分10    時    分時間排尿尿量漏れ   時から翌日の     時までの分をこの一枚に記載してください時間排尿(○印)尿量(ml)漏れ(○印) 起床時間: 午前・ 午後      時     分就寝時間: 午前・ 午後      時     分   月  日( )次のページへつづくメモその日の体調など気づいたことなどがあれば記載してください。排尿日誌(??????????????????????????)mlmlmlmlmlmlmlmlmlml図1 排尿日誌(日本排尿機能学会ホームページより引用)