カレントテラピー 34-12 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.12 191153る必要があり,これらの管理が難しい場合,そして難治性の場合は専門医に相談することを推奨している.1 対象患者本アルゴリズムの対象患者は,OAB症状を疑わせる下部尿路症状を訴える成人女性および成人男性で,未成年は対象外である.OABと診断するためには,尿意切迫感が必須である.また,OABと診断するためには,過活動膀胱症状スコア(overactive bladdersymptom score:OABSS)の質問3(尿意切迫感)で2点以上が必須である.2 評価1)基本評価①上記対象患者に対する必須の基本評価は,自覚症状の詳細な問診である.特に尿意切迫感,頻尿,夜間頻尿,切迫性尿失禁などの蓄尿症状(OAB症状),排尿症状,排尿後症状を中心として問診を行う必要がある.質問票としては,OABSSが有用である.その他,病歴・既往歴・合併症,服薬歴(特に下部尿路症状を引き起こす可能性のある薬剤),水分摂取習慣などの問診は必須である.また身体理学的所見・神経学的所見,検尿,残尿測定は必須の検査である.OABの診断を進める際には,OAB症状を示す他疾患を除外診断することが大切である.OABと鑑別すべき疾患には,悪性腫瘍(膀胱癌,前立腺癌,その他の骨盤内腫瘍),尿路結石(膀胱結石,尿道結石,下部尿管結石),下部尿路の炎症性疾患(細菌性膀胱炎,前立腺炎,尿道炎,間質性膀胱炎),子宮内膜症などの膀胱周囲の異常,多尿,心因性頻尿などが含まれる.特に膀胱出口部閉塞(前立腺肥大症),女性骨盤底障害および神経疾患によるOABなど,より適切な治療のために一度は専門医の診察が推奨される.2)基本評価②患者の病状を把握するうえでは,その他の症状質問票〔国際前立腺症状スコア(international prostatesymptom score:IPSS),主要下部尿路症状スコア(core lower urinary tract symptom score:CLSS)〕,QOL評価〔キング健康質問票(King’s health questionnaire:KHQ),過活動膀胱質問票(overactivebladder questionnaire:OAB-q)〕が有用な場合がある.また排尿日誌(または排尿記録),尿細菌検査,超音波検査,血清クレアチニン,血清前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)(男性),台上診(女性),直腸診(男性)なども基本評価として有用であるが,専門的知識が必要なため一般医家には必ずしも必須ではない.基本評価①(②)問題がある病歴,症状,検査所見血尿あり膿尿あり血尿/膿尿なし抗菌薬治療残尿100mL以上残尿100mL未満有効終了無効行動療法±薬物療法効果不良改善/有効治療継続専門医へ相談過活動膀胱を疑う男女:尿意切迫感(必須)と頻尿±尿失禁図1一般医家を対象としたOAB診療アルゴリズム〔参考文献2)より引用改編〕