カレントテラピー 34-12 サンプル page 11/36
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カレントテラピー 34-12 サンプル
18 Current Therapy 2016 Vol.34 No.121152Ⅰ はじめに2005年に過活動膀胱(overactive bladder:OAB)診療ガイドライン1)が刊行されてから10年を経て,2015年4月にOAB診療ガイドライン第2版2)が刊行された.第2版では,第1版以降10年間に蓄積されたエビデンスが盛り込まれたうえに,一般医家に加え泌尿器科専門医(以下,専門医)を対象とした診療アルゴリズムがつくられたことが特徴のひとつである.本稿では,これらアルゴリズムについて,若干の解説を加えながら概説する.Ⅱ 一般医家を対象としたOAB診療アルゴリズム一般医家を対象としたOAB診療アルゴリズム(図1)2)では,OAB症状をきたす数多くの他疾患の鑑別診断を問診,検尿,残尿測定などにより適切に行い,他疾患が疑われた場合は専門医に直ちに相談することを推奨している.特に悪性腫瘍は生命を脅かす可能性があるため,“OAB症状があれば安易に抗コリン薬もしくはβ3作動薬を投与すればいいというわけではない”という注意喚起の意味が込められている.また,下部尿路機能はきわめて複雑である.したがって治療も,抗コリン薬もしくはβ3 作動薬による薬物治療を中心とするものの,病態は患者ごとに異なり,また副作用,特に排尿障害や尿閉には十分気をつけ*1 福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座教授*2 福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座助手*3 福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座専攻医過活動膀胱の最新の治療─QOL改善に広がる選択肢過活動膀胱診療ガイドラインにおける診療アルゴリズム小島祥敬*1・赤井畑秀則*2・松岡香菜子*3・胡口智之*2・秦 淳也*2過活動膀胱(overactive bladder:OAB)診療ガイドライン第2 版では,一般医家に加え泌尿器科専門医を対象とした診療アルゴリズムがつくられたことが特徴のひとつである.一般医家を対象としたアルゴリズムでは,OAB症状をきたす他疾患の鑑別診断を適切に行い,これらが疑われた場合は専門医に相談すること,また,治療は薬物治療を中心とするが,副作用,特に排尿障害や尿閉には十分気をつける必要があり,これらの管理が難しい場合は専門医に相談することを推奨している.一方,専門医を対象としたアルゴリズムでは,再評価,患者教育や治療目標の設定の重要性が盛り込まれていること,前立腺肥大症のある男性と,女性および前立腺肥大症のない男性に分けて治療方針が決められていること,さらに難治性OABの治療は,専門医にとっても容易ではないことを明確に述べたうえで治療アルゴリズムを示したことがポイントである.本稿では,これらアルゴリズムについて,若干の解説を加え概説した.