カレントテラピー 34-11 サンプル

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カレントテラピー 34-11 サンプル

Current Therapy 2016 Vol.34 No.11 11腸内細菌基礎研究の進歩1051子配列の同定を行う(図4).同定した遺伝子配列をClusters of Orthologous Groups(COG)やKyotoEncyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)10),11)といった機能既知遺伝子のデータベースに照会し,機能の注釈および分類を行うことで,菌叢がもつ遺伝子の種類を明らかにできる.また,得られた遺伝子セットにメタゲノムリードをマッピングすることで各機能の組成比を計算することも可能である(図5).また,メタゲノムデータを個別の細菌ゲノム配列(リファレンスゲノムデータベース)にマッピングすることで,各菌にマップされたリード割合から菌組成を求めることも可能である(図5).3 個別ゲノム解析腸内細菌叢中から菌を単分離しNGSを用いて個々の菌のゲノム配列を決定する.得られたゲノム情報から情報学的解析を行うことで,各菌株のもつ機能的特性を個別に明らかにすることが可能である.また,前述のメタゲノム解析ではリファレンスとなるデータベースの充実度が解析の精度を左右する.このため腸内細菌叢中の未分離な細菌を分離しゲノム配列を決定することは非常に重要である.ヒト常在細菌については2007年に国際コンソーシアムであるInternationalHuman Microbiome Consortium(IHMC)が発足して以降,世界規模でリファレンスゲノム配列の充実行ってきた背景があり,その結果,現在ではヒト腸内細菌叢から得られたメタゲノム配列の70~80%以上がリファレンスゲノム中に帰属することが可能になっている.Ⅲ おわりに本稿では,近年急速に発展してきたNGSを用いた腸内細菌叢の解析手法について概説してきた.NGSで得られる大量のデータを解析するためには,一定のバイオインフォマティクスの知識が必要とされるため,このような人材の育成は重要である.一方では,深いバイオインフォマティクスの知識がなくても上述の一連の解析を比較的簡易に行うことが可能なソフトウエア(QIIME12))やクラウド型自動解析サー遺伝子数・機能組成解析菌組成の解析Quality Checkアセンブリ遺伝子予測(MetaGeneAnnotator等)腸内細菌叢のDNA次世代シークエンサーを用いたホールゲノムショットガンシークエンシングメタゲノムリードマッピング細菌ゲノム2細菌ゲノム3 …細菌ゲノム1断片化・ライブラリ作成リファレンスゲノムデータベース機能遺伝子データベース(KEGG・COG)非重複配列図4メタゲノム解析の流れ