カレントテラピー 34-11 サンプル page 23/32
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カレントテラピー 34-11 サンプル
Current Therapy 2016 Vol.34 No.11 73治療薬解説11132)炎症性腸疾患炎症性腸疾患患者における腸内細菌叢の異常については以前から指摘されており7),疾患病態への関与が示唆される.また基礎的な研究から,プロバイオティクスは腸管バリア機能の増強作用8)や免疫調節作用9)を有することが明らかにされている.このような背景から,本症に対してプロバイオティクスを用いた治療が以前から行われており,最近になって多くのRCTが報告されるようになった.われわれは,炎症性腸疾患に対するプロバイオティクス治療に関する21編のRCT(潰瘍性大腸炎14編,術後回腸嚢炎2編,クローン病5編)を対象にメタ解析を行った10).その結果,活動期の潰瘍性大腸炎患者にプロバイオティクス投与を行った群では治療反応性が高かったが寛解導入率では有意な効果は認めず,寛解期における再燃率についても有意な効果は認められなかった.また,寛解期のクローン病においてもプロバイオティクス治療による再燃率の有意な低下は認めず,炎症性腸疾患におけるプロバイオティクス治療の意義については明確な結果が得られていない(図1).最近になって,炎症性腸疾患患者の腸内細菌叢においてFaecalibacteriumprausnitzii の著明な減少が明らかにされ,本菌を用いたプロバイオティクス治療への展開が期待されている11).また,Clostridium属の菌種を組み合わせることで制御性T細胞が誘導されることも明らかにされた12).菌種やその組み合わせ,効果的な対象症例や投与時期の選択が今後の課題と考えられる.3)大腸癌大腸癌患者における腸内細菌叢の異常としてBacteroidesやFusobacterium の増加7),13),酪酸産生菌の減少14)などが報告されており,腸内細菌叢の異常を標的とした治療の開発が期待されている.プロバイオKato K, et al. 2004Furrie E, et al. 2005Sood A, et al. 2009Tursi A, et al. 2010Oliva S, et al. 2012Fixed effect modelRandom effect modelHeterogeneity: I-squared=0%, tau-squared=0, p=0.43337525411610107771161844372981010707315178aStudyExperimental ControlEvents Total Events Total1.751.673.251.451.881.811.72[0.74;4.14][0.54;5.17][1.50;7.03][1.03;2.05][1.17;3.01][1.40;2.35][1.35;2.20]1.5Relative Risk0.75 1Relative Risk0.751.5Relative Risk0.75 18.1%4.7%10.1%50.3%26.8%ー100%7.8%5.9%14.3%55.9%16.1%100%ーRR 95%-Cl W(random)W(fixed)Kato K, et al. 2004Tursi A, et al. 2004Miele E, et al. 2009Matthes H, et al. 2010Oliva S, et al. 2012Fixed effect modelRandom effect modelHeterogeneity: I-squared=58.4%,tau-squared=0.202, p=0.0475424132951030147016140321470103015201590bStudyExperimental ControlEvents Total Events Total1.331.143.481.1810.331.521.56[0.40;4.49][0.85;1.53][1.49;8.16][0.61;2.29][0.62;171.78][1.15;2.01][0.95;2.59]12.5%39.3%19.7%25.5%3.0%ー100%7.6%53.5%9.8%27.7%1.3%100%ーRR 95%-Cl W(random)W(fixed)Kruis W, et al. 1997Rembacken BJ,et al. 1999Kruis W, et al. 2004Zocco MA, et al. 2006Fixed effect modelRandom effect modelHeterogeneity: I-squared=0%, tau-squared=0, p=0.707582640105039162653166323812534416560322cStudyExperimental ControlEvents Total Events Total1.410.921.070.771.000.97[0.53;3.79][0.69;1.22][0.73;1.58][0.36;1.65][0.79;1.26][0.78;1.20]4.8%56.4%30.8%8.0%ー100%6.8%35.0%43.8%14.5%100%ーRR 95%-Cl W(random)W(fixed)図1潰瘍性大腸炎患者におけるプロバイオティクスの治療効果のメタ解析a:活動期潰瘍性大腸炎患者における治療反応性b:活動期潰瘍性大腸炎患者における寛解導入率c:寛解期潰瘍性大腸炎患者における再燃率