カレントテラピー 34-10 サンプル

カレントテラピー 34-10 サンプル page 8/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-10 サンプル の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-10 サンプル

24 Current Therapy 2016 Vol.34 No.109602 膝OAの保存療法のエビデンスレベル非薬物療法としては,膝OAという病態とそれに基づく対策について患者自身が理解を得るように情報を提供し教育することは,強く推奨される.単純X線では膝OAを認めるものの症状を有さない場合に筋力強化訓練と関節可動域訓練などの有酸素運動療法を定期的に行うこと,標準体重を超過する患者における減量,そして疼痛軽減のための歩行補助具の使用は,同様に強く推奨される治療法である.次に推奨される治療法として推奨度Bとなっているのは,疼痛など有症状者への運動療法や歩行補助具の処方,中程度までの内半や外反の下肢アライメント異常に対する膝関節に用いる装具療法,そして疼痛緩和と歩行能力回復を目的とした足底板の使用である.一方で,本邦で比較的頻用されている温熱療法や経皮的電気神経刺激療法についてのエビデンスは低く,考慮してもよい治療法となっている.薬物療法は,非薬物療法と比較すると,全般的にエビデンスレベルは低い.使用を強く勧める薬物療法は,経口NSAIDsのみである.経口NSAIDsの使用表 OARSI策定膝OAエキスパートコンセンサスガイドラインの日整会適正化ガイドライン全般推奨度1 OAの至適な管理目的の非薬物療法と薬物療法の併用療法A非薬物療法2 すべての膝関節OA患者に対する,治療の目的と生活様式の変更,運動療法,生活動作の適正化,減量,および損傷した関節への負担を軽減する方法に関する情報の提供と教育A3 膝関節OA患者への定期的な電話指導(これに類似する接触密度の低い激励などの行為) C4 症候性の膝関節OA患者に対する疼痛緩和および身体機能を改善するための適切な運動療法,杖および歩行器などの補助具の適切な処方B5 膝関節OA患者に対する定期的な有酸素運動療法,筋力強化訓練および関節可動域訓練の継続的実施A6 標準体重を超過する膝関節OA患者に対する減量,低下した体重の維持A7 歩行補助具の膝関節OA患者の疼痛低減のための使用(片側性では対側の手で杖/松葉杖使用,両側性ではフレームまたは車輪付き歩行器)A8 軽度~中等度の内反または外反がみられる膝関節OA患者に対する膝関節装具療法B9 膝関節OA患者に対して疼痛を緩和,歩行(運動)能力の改善を目的として足底板使用(膝関節内側OAでは,一部に外側楔状足底板が有効)B10 膝関節OA患者の疼痛緩和目的の温熱療法C11 膝関節OA患者の短期的な疼痛コントロール目的の経皮的電気神経刺激療法(TENS) C薬物療法12 アセトアミノフェン(4g/日以下)の使用B13 NSAIDs[Cox-2阻害剤(胃腸障害時,PPI & PG服用)] A14 外用NSAIDsおよびカプサイシン(トウガラシ抽出物) B15 副腎皮質コルチコステロイド関節内注射C16 ヒアルロン酸関節内注射の使用B17 グルコサミンやコンドロイチン硫酸の投与(症状改善目的) I18 グルコサミンやコンドロイチン硫酸の使用(軟骨保護作用を目的) D19 弱オピオイドや麻薬系鎮痛剤C外科的療法20 人工膝関節置換術A21 限定された膝OA患者に対する単顆膝関節置換術C22 高位脛骨骨切り術B23 関節洗浄および関節鏡視下デブリドマンの実施C24 関節固定術の実施CA:行うように強く推奨する,B:行うよう推奨する,C:行うことを考慮して良い,D:推奨しない,I:委員会の設定した基準を満たすエビデンスがない.あるいは複数のエビデンスがあるが結論が一様でない.OARSI:Osteoarthritis Research Society International,日整会:日本整形外科学会〔参考文献9)より引用〕