カレントテラピー 34-10 サンプル

カレントテラピー 34-10 サンプル page 7/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-10 サンプル の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-10 サンプル

Current Therapy 2016 Vol.34 No.10 23ロコモティブシンドローム(ロコモ)の病態と対策959量化する7).軟骨摩耗や半月損傷,軟骨下骨の骨髄異常陰影(bone marrow lesion:BML)などの病態が評価項目である.3 臨床症状膝OAでは,歩行時痛が最も重要な臨床症状である.特に階段昇降時の疼痛は,初期膝OAで頻度が高い臨床症状である.膝の腫脹と関節完全伸展および屈曲時の疼痛もよく認められる症状である.病態進行により疼痛の出現頻度と強度が増し,歩行速度の低下,さらには行動制限へと発展する.関節可動域制限は骨棘形成や関節包の肥厚と癒着との関連が示唆されている.伸展制限は歩行速度低下を,また屈曲制限は正座困難を招く.関節の炎症と滑膜肥厚,そして骨棘形成と筋萎縮は関節腫大として自覚され,関節軟骨の摩耗と軟骨下骨の陥没は,多くの場合膝内側に局所的に発生し,下肢の内反変形が進む.他覚的には,関節水症や関節裂隙に一致する圧痛,他動運動時痛,関節可動域の減少の有無や,歩容の確認が重要である.内反変形が顕著になると,荷重時に膝関節が外側にシフトするlateral thrustも出現することがある.臨床症状の把握は,従来,患者の症状を医師が評価する客観的機能評価法が用いられてきた.本邦においても膝OA治療成績判定基準(いわゆる,日整会スコア)が一般的であった.しかし,膝OAの臨床機能評価には,患者自身による評価が重要視され,世界的にはWestern Ontario and McMaster Universities(WOMAC)Osteoarthritis Indexなどの患者立脚型臨床機能評価法が一般的である.本邦でもこれを基に日本人の生活様式を加味した患者立脚型臨床機能評価法として,日本版膝OA機能評価(Japanese KneeOsteoarthritis Measure:JKOM)が開発されている8).患者立脚型臨床機能評価法を用いることは,新規治療法の治療効果評価にも重要である.Ⅲ 変形性膝関節症の対策本項では,現時点における膝OA対策,つまり広義の治療法について概説する.1 変形性膝関節症の治療ガイドライン近年,本邦でも膝OAについてのエビデンスに基づく治療ガイドラインが策定された.わが国の変形性膝関節症の治療ガイドラインは,Osteoarthritis ResearchSociety International(OARSI)の診療ガイドラインを基に,日本整形外科学会膝OA診療ガイドライン策定委員会の先生方が,日本語化と医療事情に適合化させる作業を行われたものであり,2015年に改訂されている(表)9).膝OAの治療は,大きくは保存的治療(非外科的治療)と外科的治療からなる.全般的事項として,非薬物療法と薬物療法を併用して治療することは,強く推奨される推奨度Aの治療法である.K/Lグレード1 2 3 4関節裂隙狭小化- +/- + ++骨棘+/- + ++ +++軟骨下骨硬化骨辺縁の変形-/--/-+/+/-++/+図2変形性膝関節症の単純X線による重症度分類(Kellgren-Lawrence分類)K/L:Kellgren-Lawrence