カレントテラピー 34-10 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.10 891025フレイルとロコモ国立長寿医療研究センター病院病院長 原田 敦フレイル(虚弱)とは,加齢とともに,心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し,生活機能障害,要介護状態,そして死亡などの危険性が高くなった状態で,さらに筋力の減少により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず,認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題,独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である,とされている.つまり,フレイルは,身体的側面,精神的側面,そして社会的側面と多面性を有する概念で,壮健と要介護状態の中間に位置するとされる.ただし,注意しなければならないのは,その概念はまだ国際的に広く合意された段階には至っていない点である.いずれにしても,壮健な状態では,運動機能や記憶判断能力においては生活機能の自立を保ち,活発な社会活動を行える状態であるが,フレイルの状態になると,身体的には低栄養,転倒リスクの増加など,精神的には意欲・判断力や認知機能の低下など,社会的には閉じこもりや孤食などに陥る.この段階は可逆性なので,適切な介入・支援を導入すれば,生活機能の維持向上が可能であるが,さらなる悪化を重ねると,要介護状態まで進行してしまう.そのなかで,身体的フレイルは,移動などの運動機能の低下を主要症候のひとつとしている.また,体重減少,易疲労性,筋力減少,歩行速度減少,活動量低下の5項目のうち3つ以上あればフレイル,1つまたは2つあればプレフレイルと判定するという方法が最も普及しているが,主にこの判定に反映されるのは身体的側面であると思われる.老年学では,この身体的フレイルの中心的疾患がサルコペニアであると広く理解されている.一方,ロコモティブシンドロームは,運動器障害によって移動能力の低下をきたした状態であり,骨粗鬆症,サルコペニア,変形性関節症,脊柱管狭窄症などの組織別の運動器疾患群がその要因とされている.ロコモの診断は,下肢筋力および歩行速度の代替評価と総合的自己評価であるロコモ25でなされるので,診断方法だけをみると,フレイルとロコモの包含重複関係があることは明らかである.フレイルとロコモの関係に関しては,まだ確定的なことがいえる段階ではないが,ロコモと判定されたものは,少なくともプレフレイルが認められると考えられ,相当の割合がフレイルに属するものと予想されることから,今後の検証が待たれる.ロコモの原因となる運動器の障害としては,前述のように,サルコペニアも含む幅広い運動器疾患が身体的問題の基礎疾患として存在すると考えられている.したがって,身体的フレイルの主要な原因として,サルコペニアも含むロコモティブシンドロームを位置づけるのが,最も高齢者の実情に沿うと思われる.身体的フレイルの原因疾患をサルコペニアだけに限定してしまうと,運動機能の低下で悩む超高齢者の増加に対応できないと考えられる.身体的フレイルのキーは移動能力の低下であり,まさにロコモが重要で大きな要因となっていると考えるのが理にかなっていると思われる.ロコモティブシンドローム─長寿時代の各科に必要な運動器の最新知識