カレントテラピー 34-10 サンプル page 20/32
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カレントテラピー 34-10 サンプル
Current Therapy 2016 Vol.34 No.10 77代替療法1013(cybernic neurorehabilitation)と命名され,歩行運動の無誤学習による潜在学習を実現する(図3)17).このようにHALによる歩行運動療法を繰り返すことで効率よく歩行機能再生を行うことが可能となるが,このHALによる歩行機能再生システムの原理からすると,脳,脊髄,末梢神経,筋肉に起因するすべての歩行障害に有効であると考えられる.また脳,脊髄,末梢神経,筋肉に起因する歩行障害をHALによる歩行運動療法で克服できれば,歩行障害の悪循環の多くを断ち切ることができる.要介護の原因疾患として脳血管疾患が第一位であり,その他にもパーキンソン病や脊髄損傷などが要介護の原因となることから,それらによる歩行障害を克服し得るHALは要介護が増え続ける超高齢化社会において,重要な役割を果たしていくだろう.また,HALによる歩行機能再生システムは再生医療においてもなくてはならない存在となり得る.再生医療の進歩が目覚ましいが,動物実験では脊髄損傷における細胞移植などの例をみると,細胞移植のみでは機能改善は十分でない可能性があり,リハビリテーションによって相乗的に運動機能の改善が見込めるとされ18),細胞移植などによる再生医療とサイバニックニューロリハビリテーションとの複合療法が今後の神経再生医療の主流になることが予想される.参考文献1) 中江陽一郎,熊谷公明,栗原まな:小児の歩行の発達 歩行分析システムによる検討.脳と発達 33:299-306, 20012) Himann JE, Cunningham DA, Rechnitzer PA, et al:Agerelatedchanges in speed of walking. Med Sci Sports Exerc20:161-166, 19883) Cruz -Jentoft AJ, Baeyens JP, Bauer JM, et al;EuropeanWorking Group on Sarcopenia in Older People:Sarcopenia:European consensus on definition and diagnosis:Report ofthe European Working Group on Sarcopenia in Older People.Age Ageing 39:412-423, 20104) Studenski S, Perera S, Patel K, et al:Gait speed and survivalin older adults. JAMA 305:50-58, 20115) Erin E. Butler, Maurice Druzin, et al:成人期の歩行の調節:妊娠,老化,アルコール依存症,ヒューマンウォーキング 原著第3版.Jessica Rose, James G. Gamble(編). pp137-154,医歯薬出版,東京, 20096) William L. Haskell, et al:健康を目的とした歩行(ウォーキング),ヒューマンウォーキング 原著第3版. Jessica Rose, JamesG. Gamble(編). pp155-170,医歯薬出版,東京, 20097) 中澤公孝:【脊髄損傷のニューロリハビリテーション】免荷式トレッドミル歩行トレーニングの理論と実際.国立障害者リハセ研紀 30:3-7, 20108) 中澤公孝:歩行トレーニングの実際,歩行のニューロリハビリテーション 歩行の再獲得をめざした理論と臨床.pp9-134,杏林書院,東京, 20109) Chang WH, Kim YH:Robot -assisted Therapy in StrokeRehabilitation. J Stroke 15:174-181, 201310) 道免和久:ニューロリハビリテーション概論,ニューロリハビリテーション.pp1-7,医学書院,東京, 201511) D. O. Hebb,“ The Organization of Behavior:A NeuropsychologicalTheory,” Wiley, New York, 194912) Chang Y:Reorganization and plastic changes of the humanbrain associated with skill learning and expertise. Front HumNeurosci 8:35, 2014装着者の運動意図(振り出し,Stepごと)意図した通りのエラーのない運動現象(CVC+CAC)繰り返す.疲労少なく運動学習意図した運動を成功したという感覚(CVC+CIC)HAL生体電位,角度センサ,足底荷重センサ,体幹絶対角度センサetc(CVC+CAC)脳・脊髄の可塑性図3サイバニックニューロリハビリテーション〔参考文献17)より引用〕