カレントテラピー 34-10 サンプル

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カレントテラピー 34-10 サンプル

Current Therapy 2016 Vol.34 No.10 35ロコモティブシンドローム(ロコモ)の病態と対策97123.2%,31.8%,女性0.6%,5.5%,13.8%,22.9%,62.2%であり,男女ともに年齢とともに有病率が高くなり,特に75歳以降でその傾向が顕著であった.Ⅳ サルコペニアと運動との関連次に,サルコペニアと関連する因子をロジスティック回帰分析により検討したところ(表上段),サルコペニアと年齢は正の,体格指数とは負の関連があったが,性差はみられなかった.運動テスト項目について検討したところ,サルコペニアは5回椅子立ち上がり時間や開眼片足立ち時間と関連があり,運動能力が高い者ほどサルコペニアの有病率が低かった.また同様に,中年期運動習慣とサルコペニアとの関連を検討したところ,中年期運動習慣はサルコペニアと有意な負の関連があり(表上段),中年期に運動習慣を有していた者は,そうでなかった者に比べて約2倍,サルコペニアになりにくいことが明らかとなった.さらに,中年期運動習慣の有無と老年期の運動能力との関連を重回帰分析により検討した結果,中年期に運動習慣を有していた者は,習慣がなかった者に比べて,老年期における握力が強く,歩行速度や片足立ち時間などの運動能力が高いことが明らかとなった(表下段).Ⅴ サルコペニア対策と要介護予防サルコペニアの有病率は,60歳代では低いが,年齢とともに高くなり,特に75歳以上では急速にその有病率が高くなり,多くの者がサルコペニアとなっている.運動との関連では,中年期に運動習慣を有していた者は,高齢期においても筋力や運動能力が高く維持され,サルコペニアになりにくく,予防効果があることが示唆された.筋力と運動能力の低下は要介護移行(要支援含む)の危険因子であり7),歩行速度≦0.8 m/sまたは握力が男性<30kg,女性<20kgの筋機能低下者は,そうでない者に比べて,要介護移行リスクが1.7倍と高くなることが報告されている7).すなわち,筋力や運動能力が低下している者は,筋量の低下如何にかかわらず,早期に要介護予防のためのプログラムによる介入を行うことが望ましい.中年期の運動習慣がサルコペニアの予防対策となり,筋力と運動能力の低下を防ぐことが要介護の予防対策となることから,中年期から運動するように生活習慣づくりを行って,筋力と運動能力が維持できるよう社会啓発活動を行い,介入プログラムによる対策を進めていくことが,サルコペニアの予防と健康寿命の延伸のために重要である.サルコペニアの関連因子オッズ比95%信頼区間p値年齢(+1歳) 1.20 1.15-1.24 <.001性(女性vs.男性) 0.98 0.63-1.53 0.9体格指数(+1kg/m2) 0.68 0.63-0.75 <.0015回椅子立ち上がり時間(+1秒) 1.09 1.04-1.14 0.001開眼片足立ち時間(+1秒) 0.97 0.96-0.99 <.001中年期運動習慣(有vs.無) 0.53 0.31-0.90 0.01中年期運動習慣の関連因子回帰係数95%信頼区間p値握力1.73 1.02-2.44 <.001通常歩行速度0.07 0.04-0.10 <.0015回椅子立ち上がり時間-0.47 -1.02-0.09 0.09開眼片足立ち時間4.14 1.26-7.02 0.005表サルコペニアおよび中年期運動習慣の関連因子サルコペニアの関連因子(表上段)は,サルコペニアの有無を目的変数とするロジスティック回帰分析により解析した.中年期運動習慣の関連因子(表下段)は,中年期運動習慣を説明変数とする重回帰分析により解析した.調整因子:年齢,性,体格指数〔Osteoporos Int 25:1081 , 2014より引用〕