カレントテラピー 34-10 サンプル

カレントテラピー 34-10 サンプル page 12/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-10 サンプル の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-10 サンプル

Current Therapy 2016 Vol.34 No.10 33969ヨーロッパにおいてサルコペニアの診断基準(theEuropean Working Group on Sarcopenia in OlderPeople:EWGSOP)が提唱された1).また2014年にアジアでも同様にサルコペニアの診断基準が提唱された2).これらの診断基準では,サルコペニアを操作的に定義する.まず運動機能の指標として,歩行速度の測定を行う.歩行速度が低下している者をサルコペニア予備軍とする.一方,歩行速度の低下がみられない者については,筋力の指標として握力測定を行い,低下している者をサルコペニア予備軍とする.運動機能または筋機能が低下しているこの両者のサルコペニア予備軍に対して筋量測定を行って,筋量低下がみられた者をサルコペニアと診断する.このような操作的定義により,一定のカットオフ値を用いて,集団におけるサルコペニアの有病率を明らかにしたり,サルコペニアの関連因子を解明したりすることができるような研究環境が整えられることとなった.Ⅲ サルコペニアの疫学サルコペニアの疫学研究のひとつに,Researchon Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability(ROAD)スタディがある.ROADスタディは,2005年に開始された日本の三地域の一般住民集団を対象とする運動器疫学研究で3),4),今日まで10年以上にわたる追跡調査を行って,疫学指標や危険因子などの解明に取り組んでいる.一般住民集団におけるサルコペニアの有病率と関連因子について,2008年からの第二回目疫学調査データを基に解析が行われた5).第二回目疫学調査における直接検診に参加した一般住民は2,674名で,このうち65歳以上の男女で,通常速度での歩行速度を計測した者は1,019名であり,そのなかから,筋量測定を実施しなかった18名と握力測定を実施しなかった1名を除外した1,000名(男性349名,女性651名,平均74.9歳)を解析対象として,EWGSOP診断基準1)によるサルコペニアの有病率を求め,サルコペニアと運動との関連について検討を行った5).筋量測定は,インピーダンス法により上下肢筋量を測定し,身長の2乗で除して骨格筋量指標(skeletalmuscle mass index:SMI)を算出し,Tanimotoらにより報告6)された日本人若年成人集団におけるSMI平均値の-2SD未満(男性<7.0kg/m2,女性<5. 8kg/m2)をカットオフ値として筋量減少と定義した.また歩行速度≦0.8m/s,握力(男性<30kg,女性<20kg)脳卒中18.5%認知症15.8%高齢による衰弱13.4%関節疾患10.9%骨折・転倒パーキンソン病11.8%3.4%その他16.5%心疾患4.5%呼吸器疾患2.4%糖尿病2.8%図1 介護が必要になった理由(要支援,要介護を含む)〔平成25年厚労省国民生活基礎調査より引用〕80604020065~69 70~74 75~79 80~84 85+(歳)年齢(%)男性女性図2 歩行速度が低値の者の年齢別有病率(歩行速度低値の定義:通常ペースの歩行速度が毎秒0 . 8 m 以下)〔Osteoporos Int 25:1081 , 2014より引用〕