カレントテラピー 34-10 サンプル

カレントテラピー 34-10 サンプル page 11/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-10 サンプル の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-10 サンプル

32 Current Therapy 2016 Vol.34 No.10968Ⅰ はじめに超高齢社会を迎えた日本では,今後も高齢化率の上昇が続くものと予測されており,健康寿命の延伸により,サルコペニアを含む要介護高齢者の予防対策が焦眉の課題となっている.国民生活基礎調査(平成25年)によれば,介護が必要になった理由(要支援,要介護含む)において,脳卒中18.5%,認知症15.8%に続いて,高齢による衰弱13.4%が第3位となっている(図1).この高齢による衰弱のなかには,サルコペニアが多く含まれているものと思われる.Ⅱ サルコペニアとはサルコペニアは,全身の骨格筋量の低下と筋機能の低下(筋力低下または運動能力低下)を特徴とする高齢者の疾患であり,ADL/QOLの低下や死亡を含むさまざまな健康障害を引き起こすことが知られているが,その実態解明はいまだ不十分である.骨粗鬆症や変形性関節症などの運動器疾患と比べると,一般社会におけるサルコペニアの認知度はまだ低く,医療機関において筋量測定や,筋力,運動能力の検査を日常診療に取り入れているところは少ないのが現状である.サルコペニアの認知度が低い理由の一つとして,近年までサルコペニアの診断基準が確立されていなかったことが挙げられる.2010年になり,ようやく* 国立障害者リハビリテーションセンター病院副院長ロコモティブシンドローム─長寿時代の各科に必要な運動器の最新知識サルコペニアの病態と対策阿久根 徹*サルコペニアは,全身の骨格筋量の低下と筋機能の低下(筋力低下または運動能力低下)を特徴とする高齢者の疾患であるが,骨粗鬆症や変形性関節症など他の運動器疾患と比べて,その認知度はまだ低く,エビデンスの解明も遅れている.地域住民を対象とした運動器疫学調査研究〔Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability(ROAD)スタディ〕によれば,the European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)診断基準によるサルコペニアの有病率は,男性で13 . 8%,女性で12 . 4%であり,年齢別にみると,60歳代ではその有病率は低いが,年齢とともに高くなり,特に75 歳以降では多くの者がサルコペニアを有していた.また中年期に運動習慣を有していた集団では,老年期において筋力と運動能力が高く維持され,サルコペニアの有病率が低かった.これらのことから,サルコペニアの予防対策として,中年期における運動習慣をもつことが重要と考えられる.