カレントテラピー 33-9 サンプル page 8/32
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カレントテラピー 33-9 サンプル
Current Therapy 2015 Vol.33 No.9 11C型肝炎治療の現在と今後の展望855検診の節目検診受診者約600万人の肝炎ウイルス検査結果からみた40歳以上のHBVキャリア率,HCVキャリア率の平均値を都道府県別に上位から示す(図4).都道府県別肝癌粗死亡率が1993年以後一貫して1位を示している佐賀県では,40歳以上のHCVキャリア率は全国1位,同HBVキャリア率は6位である一方,広島県ではそれぞれ同17位,13位,沖縄県では47位,1位と都道府県ごとにキャリア率の多寡が特徴的に異なることがわかる.肝癌死亡および40歳以上の肝炎ウイルスキャリア率は都道府県ごとに異なるという背景情報を基に,地域ごとの対策を構築することが重要である.Ⅳ 感染を知らないまま社会に潜在するHCVキャリア数の推計HCVに持続感染している人(キャリア)がどのくらいいるのかを把握することは,社会に対して疾病が与える規模(burden)を測るうえでも重要であるが,肝炎ウイルスに感染している人のほとんどは自覚症状がなく,肝臓の状態が進行してもなかなか自覚症状が現れないという特性をもっているため,その数を正確に把握することは困難と考えられる.そこで,厚生労働省肝炎疫学研究班では,社会における存在状態を次に示す4分類と想定し,それぞれのキャリアの実態把握を行うことが対策を立てるうえで効率的であると報告してきた.4 分類とは,「①感染を知らないまま社会に潜在しているキャリア」,「②患者としてすでに通院・入院しているキャリア」,「③受診に至っていない,あるいは継続受診に至っていないキャリア」,「④新規感染によるキャリア」である.同研究班では,肝炎ウイルスに持続感染している人の社会での存在状態別の人数の把握を,これまでの疫学的調査成績や患者調査,数理疫学手法などを用いて試みている5).前項に示した初回供血者集団の成績と節目検診受診者集団の成績を用いて,「①感染を知らないまま社会に潜在しているキャリア」数を推計すると,2005年時点では約170万人(HCVキャリア80.8万人,HBVキャリア約90.3万人)であった.しかし,2011年時日本赤十字社 初回供血者2001.1-2006.12n=3,748,422Age at 2005a banti-HCV九州北海道東北関東北陸・東海近畿中国四国2.01.51.00.50.0199015198520198025197530197035196540196045195550195055194560194065 歳出生年2005年時点InterviroIogy. 2011;54(4):185-195 より改変Prevalence of HCV(%) Prevalence of HCV(%)2.52.01.51.00.502.52.01.51.00.505-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-745-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-745-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-745-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-745-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-745-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-745-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-745-910-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-74節目検査受診者First-time donors図3 初回供血者集団における年齢階級別地域別にみたHCV抗体陽性率