カレントテラピー 33-9 サンプル

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10 Current Therapy 2015 Vol.33 No.9854には約25%,1995年には約17%,2005年には約15%と減少している.一方で,1980年代から2000年代にかけて肝癌による死亡が増加した原因は非A非B型に起因するものと推定でき,1992年以降そのほとんどがHCVの持続感染に起因するものであることが明らかとなった.なお,1998年以降,非B非C型に由来する肝癌による死亡の割合が肝癌死亡全体の10~15%を占めて増加傾向にあるが,依然として肝細胞癌死亡の約8割はHCVあるいはHBVの持続感染に起因し,その多くはHCVによる持続感染であることから,肝炎ウイルス感染予防と肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)への対策が重要である.他国の肝癌の成因については,システマティックレビューによりWHOの地域分割別に推定されたHBVおよびHCV感染の肝癌への寄与割合3)を図2に示す.世界全体では,HBVとHCV感染の肝癌への寄与はそれぞれ53%,25%と,HBVの寄与が大きく推定されているが,日本(WPR-A地域)は,AMR-A(米国),EUR -A地域(ドイツなど欧州)と同様,HCV感染の寄与が66%と,HBV感染よりも大きく推定されている.一方,日本以外の他のアジア地域(WPR-B)では,逆にHBV感染の肝癌への寄与が65%と大きく推定されている.HCVに対するDAAの導入は肝癌死亡の抑制という意味から,欧米・日本においてその効果が期待できると考えられる.Ⅲ 初回供血者および節目検診受診者からみたHCVキャリア率一般集団におけるHCV の感染状況を把握するために,全国で統一された試薬と診断基準により判定を行っている日本赤十字社血液センターの2001~2006年の6年間の初回供血者集団3,748,422人の資料からHCV抗体陽性率を算出すると,HCV抗体陽性率は全体で0.26%であったが,60歳以上の高年齢層では2. 0%以上という高いHCV抗体陽性率を示し,若年層ではきわめて低い値を示した(図3 a).初回供血者集団と節目検診受診者の2つの大規模集団の成績の特性を考慮して8地域別年齢階級別HCVキャリア率4)を推定すると(図3b),8地域ともに,HCVキャリア率は年齢が高い集団で高い値を示し,特に近畿,四国地域では2%を超え,中国,北陸・東海,関東地域と続いている.一方,いずれの地域も,20歳以下の若い年齢層ではきわめて低いHCVキャリア率(0.04~0.05%)を示しており,年齢とキャリア率の傾向は地域により多少の高低差が認められるものの,年齢が高い集団でHCVキャリア率が高い傾向を示すという特徴が,いずれの地域にも認められた.次に,2002~2006年度に実施された肝炎ウイルス16% 18% 25%43% 51%37%65%47% 53%48% 44%66% 21% 15%27%18%18%25%36% 38%9%36% 34% 36%17%35%22%0%20%40%60%80%100%AMR-AEUR-AWPR-AAMR-B/DEUR-B/CSEAR-BWPR-BAFR-D/EWORLD■ HBV ■ HCV ■ その他◆AMR - A(United States)◆EUR - A(Germany, Italia, Spain, Greece)◆WPR - A(Japan, Singapore)◆AMR - B/D(Brazil, Peru, Mexico)◆EUR - B/C(Russia, Turkey)◆SEAR - B(Indonesia, Thailand)◆WPR - B(China, Mongolia, South Korea, Taiwan)◆AFR - D/E(Ethiopia, Gabon, Gambia, Kenya, Mali, Nigeria, Senegal, South Africa, Zimbabwe)図2 WHO地域別にみたHCCへのHBVおよびHCV感染の推定寄与割合〔参考文献3)より引用改変〕