カレントテラピー 33-9 サンプル

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74 Current Therapy 2015 Vol.33 No.9918Ⅰ はじめにC型慢性肝炎に対して,これまでインターフェロン(IFN)注射による治療が主体であった.IFNは身体のIFN誘導遺伝子の活性化や免疫賦活によって間接的にC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)に作用するのが特徴であり,IFN誘導遺伝子の作用はHCVに対して非特異的である.近年,HCVに直接作用する内服抗ウイルス薬(direct acting antiviral:DAA)の開発が急速に進歩し,DAAのみで治療することが欧米では通常に行われている.DAA内服のみでウイルス排除(sustained virological response:SVR)が得られる率が9割を超えるようになり,近い将来経口薬のみで大多数の症例がSVRを獲得できる可能性が高くなってきた.本稿では,わが国で上市されていない海外でのDAAによる臨床治験について概説する.Ⅱ 核酸型ポリメラーゼ阻害薬ソホスブビルを基本とした治療ソホスブビル(SOF)は核酸型ポリメラーゼ阻害薬で,すべてのゲノタイプのHCVに有効であることに加えて,耐性変異が生じにくいため基本薬として用いられている.SOFとリバビリンのみによるゲノタイプ2型や3型に対して有効であり,副作用は頭痛や倦怠感以外のものはみられなかった1),2).そこで,欧米ではSOFが基本薬となって,ゲノタイプ1型の治療が行われている.欧米ではゲノタイプ1型の症例は1a型が多く,DAAによって耐性が出やすく難治である.そこで,ゲノタイプ1型の症例に対して,核酸型ポリメラーゼ阻害薬のSOF 400mgと,NS5A阻害薬のレジパスビル90mgを合剤にして用いる治療が欧米で行われている.わが国でもこの組み合わせで治験が行われ,高い奏効率が得られている.SOFとプロテアーゼ阻害薬であるシメプレビルの併世界におけるC型肝炎に対するDAA開発の現況泉 並木** 武蔵野赤十字病院消化器科部長肝炎治療の今後の展望― ウイルス肝炎は克服されるか現在では,インターフェロン(IFN)なしでC型肝炎ウイルスを排除できるようになった.わが国で,すでに経口抗ウイルス薬のみでの治療が行われているが,海外ではゲノタイプ1a型が多いため,薬剤耐性変異が生じやすく,より効果が高い治療が開発されている.それぞれ基軸となる最も効果がある薬剤を中心として,他の作用をもつ薬剤との組み合わせで開発治験が進んでいる.これらの薬剤に求められるものは,効果が高いことや,耐性変異に対するバリアが高いこと,薬剤相互作用が少ないこと,治療期間が短いことなどが挙げられている.海外の情勢を把握して,わが国の実情と照らし合わせて,改善できる余地を把握しておくことが重要である.a b s t r a c t