カレントテラピー 33-9 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.9 71代替療法915与群は36 . 2%であった(図2)10).C型慢性肝炎に対するUDCAの投与量は600mg/日が一般的で,効果不十分なら900mg/日まで増量する.保険で認められているUDCAの1日投与量は,C型慢性肝炎と原発性胆汁性肝硬変は600~900 mgであるが,B型慢性肝炎,その他の慢性肝疾患,胆道系疾患および胆汁うっ滞を伴う肝疾患は150mgまでである.なお,UDCAは消化不良(小腸切除後遺症,炎症性小腸疾患)と外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解治療にも保険適用があり,前者では1日150 mg,後者では1日600 mgまで投与可能である11).しかし,臨床実地の場で肝疾患にUDCAを1日150mgしか投与しないということはなく,通常は600mg程度投与されている.薬剤性肝障害では,肝細胞障害型および胆汁うっ滞型のどちらもUDCAの投与が推奨されている12).UDCAは重篤な副作用がなく,経口投与可能で安価な点が利点(100mg 錠1錠12.2円)である.副作用は,胃部不快感,下痢,便秘などの消化器症状がまれに認められる.なかでも,下痢が強い例では投与を中止する.原発性胆汁性肝硬変で皮膚?痒感の治療においてコレスチラミンを服用している患者は,UDCAが吸着されるため,コレスチラミンと3時間以上間隔をあけて服用する必要がある.一方,非代償性肝硬変患者に対する有効性および安全性は確立していないため,高度黄疸例にはUDCAは投与しない.処方例ウルソR錠(100mg)3~9錠 分3(1日6錠が一般的)Ⅳ グリチルリチン製剤グリチルリチンは,生薬である甘カン草ゾウのサポニン成分であり,甘草エキスとして古くより用いられてきた13).グリチルリチンは抗アレルギー作用,抗炎症作用,免疫調節作用(弱ステロイド作用),肝細胞膜保護作用,抗線維化作用,ウイルス増殖抑制作用などの薬理作用を有する14).グリチルリチンには経口剤(グリチロンR配合錠)と注射剤である強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)がある.グリチロン錠は,蕁麻疹,湿疹,口内炎などに処方されるが,肝炎にはほとんど効果がない.SNMCはグリチルリチン,システイン,グリシンを配合した注射薬であり,グリチルリチンが主成分である.SNMC 1日40mLを1カ月間投与する二重盲検試験で,SNMC投与群はプラセボ群よりも有意にAST,ALT 値が改善した15),16).SNMC の投与量は1回40~100mLを連日または間歇投与するが,40mL投与よりも100mL投与のほうが有意にALTが改善する17),18).UDCA,SNMCともに肝発癌抑制効果を示す論文があるが,すべてが後ろ向きの非RCTであるため,交絡因子や選択バイアスの影響が大きく信頼性は低い.肝硬変への進展,肝発癌,肝組織所見の改善をエンドポイントとしたRCTは存在していない.副作用としては,偽アルドステロン症(低カリウム血症,高血圧症,浮腫など)がある.副作用は投与回数,投与量が多いと発症しやすくなる.副作用がCDCA CADCALCA UDCA投与前0.6%UDCA投与(10~12mg/kg/日)投与後UDCA40.1%CDCACADCALCA図1UDCA投与前後の胆汁中胆汁酸組成の変化CA:コール酸,CDCA:ケノデオキシコール酸,DCA:デオキシコール酸,LCA:リトコール酸〔参考文献8)より作図〕