カレントテラピー 33-9 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.9 69913Ⅱ 肝庇護療法肝庇護療法とは肝庇護薬による治療である.肝庇護薬は,抗ウイルス作用は有さないが,さまざまな抗炎症作用により血清AST,ALT値を低下させ,肝炎を鎮静化させる薬物である.わが国には古くから多数の肝庇護薬が存在し,肝疾患治療薬として保険適用を有している(表2).日本肝臓学会の『C型肝炎治療ガイドライン』では,ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid:UDCAR)とグリチルリチンの注射薬である強力ネオミノファーゲンシー(strongerneo -minophagenC:SNMCR)が,科学的に有用性が示されている肝庇護薬として推奨されている.保険適用を有する肝庇護薬は多数あるが,UDCAを除けば,日本以外ではほとんど評価されていないのが現状である.著者は,医学中央雑誌(1987~1997年)とMEDLINE(1966~1997年)を検索し,わが国の肝庇護薬の論文のエビデンスレベルを検討した3).得られた論文のほとんどは,和文商業誌に掲載された治験と称する臨床試験であった.治験論文には,投薬期間,観察期間が短い,群内比較が強調されている,サブグループ解析が多い,肝機能検査値の改善という代理エンドポイントしか検討していない,などの問題点が認められた.観察期間が短いため,死亡,肝硬変への進展,肝発癌予防などの真のエンドポイントは検討されていなかった.二重盲検法で肝機能検査値の改善に有意差を認めた肝庇護薬を示す(表3).有意差が認められた検査項目の大半は群内比較であった.群内比較とは,実理由非代償性肝硬変安全性が確認されていないため.うつ病α型IFNは禁忌.β型IFNはうつの副作用がやや少ない.血球減少症白血球3,000μL未満,好中球1,500μL未満,血小板90,000μL未満,ヘモグロビン12.0g/dL未満はIFN使用できない.高度な貧血,コントロール困難な心臓疾患,異常ヘモグロビン症,腎障害,妊婦,妊娠希望例(男女とも)リバビリン禁忌.Y93/L31遺伝子変異例ダクラタスビル,アスナプレビル併用療法は行わない.併用薬核酸アナログ製剤や各種DAAsは抗HIV薬,抗結核薬をはじめとして多数の併用禁忌薬,併用注意薬がある.肝細胞癌,担癌患者肝炎以外に悪性疾患などの重篤な疾患を有する例.高齢者IFNは70歳以下.DDSsは未定.非協力的な患者インフォームド・コンセントが取れない例.表1抗ウイルス療法が施行できない例薬品名商品名1日投与量,投与方法コメントウルソデオキシコール酸(UDCA) ウルソR 300~900mg,分3 肝庇護薬の標準薬強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)強力ネオミノファーゲンシーR1回40~100mL静注,週1~3回.患者の負担大きいがALT低下作用大小柴胡湯小柴胡湯R 7.5g,分3食前IFN併用と肝硬変に禁合剤プロヘパールRグリチロンRアデラビン9号R3~6錠,分36~9錠,分31~2mL,分1(注射)肝臓製剤(肝臓抽出製剤と肝臓加水分解物製剤)プロパゲルマニウムセロシオンR 30mg,分3 B型肝炎が適用ありグルタチオンタチオンR 150mg,分3 経口薬と注射薬があるチオプロニンチオラR 300mg,分3 肝臓保護作用肝臓加水分解物レバイデンR 600mg,分3 肝実質再生促進ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンリバオールR 20~60mg,分3 肝解毒能増強ヒト胎盤抽出物ラエンネック112mg,分1(注射) 肝脂肪減少マロチラートカンテックR 600mg,分3 肝不全には禁忌表2わが国で保険適用を有している肝庇護薬